連日のように報道されるエドワード・スノーデン事件のニュースで、
CIAやNSAの名前が頻繁に出るようになったので、
何か彼らのダーティーなお仕事ぶりが楽しめる(?)映画の事でも書こうと思い、
とりあえず『マーキュリー・ライジング』(98)を選んでみました。
で、いろいろ調べものをしていたら、衝撃の事実を発見。
映画本編で自閉症の少年を演じた天才子役のMiko Huges(ミコ・ヒューズ)が、
15年経ってハンサムな青年に成長していたのです。
可愛らしい感じの少年が…
こんな風に成長しました。
いやーこれはちょっと驚きました。
『ハリポタ』のダニエル・ラドクリフみたいに、
成長過程を段階的に追って観ていると、
大人になってもそれほど変化に違和感がないのですが、
ミコ・ヒューズのように10年近く映画で観ていないと、
急に大人になった感じでビックリしますね。
ヒューズ少年の成長に衝撃を受けたので、
当初書こうと思っていたNSAのネタが正直どうでもよくなりました。
この映画、興行的にもコケてしまったし、
ブルース・ウィリス本人もあまり気乗りしないまま出演したらしいし、
巷の評判も芳しくないのですが、
個人的には割と好きな映画だったりします。
しかしクライマックスの屋上のセットが妙にチャチくて、
合成だとバレバレなのが痛い。
ブライアン・グレイザー製作なんだから、あれはもう少し何とかしてほしかった…。
(監督がB級のハロルド・ベッカーだから予算が下りなかったのか?)
ブルース・ウィリスがこの映画と『アルマゲドン』(98)と『マーシャル・ロー』(98)でラジー賞にノミネートされて(『アルマゲドン』で受賞)、
ミコ・ヒューズがヤング・アーティスト・アワードの主演若手俳優賞を獲ったという、
対照的な受賞結果が笑いを誘います。
この映画のNSAもなかなかのワルで、
「暗号を解読してしまったサイモン少年の抹殺を試みる」
「少年の両親も躊躇なく消す」
「組織を裏切ってアートに荷担しようとしたNSA局員も容赦なく消す」
…などやりたい放題。
NSAのクドロー大佐(アレック・ボールドウィン)の傲慢な態度が最高。
ちなみに一部で論争(?)になっている
「重要な暗号を市販のクイズ雑誌なんかに載せるか?」という件ですが、
こういう事って意外とやってるんじゃないかなー。
いくら何でも、暗号解読した人を本当に闇に葬ってるとは思わないけど。
音楽は巨匠ジョン・バリー。
派手さはありませんが、一聴して「ああ、これはバリーだな」と分かる、
「サイモンのテーマ」のメロディーが素晴らしいです。
ただ、この時期のバリーは非常に不遇だったので、
本作でもカーター・バーウェルが追加音楽を担当する事態になっています。
「もっとサスペンス・アクションっぽい音楽がほしい」という、
プロデューサーだかスタジオ側の意向ではないかと思われますが。
バリーが最後にスコアを手掛けた作品は『エニグマ』(01)でしたか。
不遇だったとはいえ、この時期のバリー作品も味があっていいと思います。
クリス・ボッティと共演したジャズ・スコアの『プレイング・バイ・ハート』(98)とか。
『マーキュリー・ライジング』は公開当時確かに評価は低かったですが、
あの頃とは違う視点で、改めて本編を観てみるのも面白いと思います。