『スパイ・レジェンド』(14)はアイリッシュのピアース・ブロスナンが主演・製作総指揮、
オーストラリア人のロジャー・ドナルドソンが監督、
ロケ地が東欧ということで、
キャストも国際色豊かな面々が揃っております。
中には有名な俳優・女優もいるけれども、
助演キャラはあまり知られていない人や、
知る人ぞ知る個性派俳優が顔を揃えていたりします。
パンフレットにも顔写真つきで紹介されていると思いますが、
せっかくなのでワタクシが分かる範囲でさらに補完させて頂こうかなと。
まず主人公ピーター・デヴェロー役のピアース・ブロスナン。
彼はもう説明不要でしょう。
『007/ダイ・アナザー・デイ』(02)以来12年ぶりのスパイ・アクション映画復帰。
ちなみに本作の続編製作を視野に入れているそうです。
(出来れば作曲家はベルトラミ続投でお願いしたい。テーマ曲も継続利用で)
まぁこの人はジェームズ・ボンドの印象が強いので、
今回のデヴェローも、
「冷酷だけど女性には優しいダンディなスパイなのよね、きっと」
…という先入観をもたれるかと思いますが、実は違うのであります。
冒頭で元恋人を殺されて復讐の鬼と化していることもあり、
CIAだろうがロシアン・マフィアの手下だろうが、
自分の邪魔をする奴は容赦なく撃ち殺すし、
必要とあれば女性を(肉体的に)傷つけることも辞さない男なのです。
言うなればブラック・ジェームズ・ボンド。
「ボンドだったら絶対こんなことしないのにー」ということも平気でやるので、
結構ショッキングかもしれません。
具体的に何をどうするかは内緒。
実際に本編をご覧になって確認してみて下さい。
ヒントはサントラ盤収録曲の英語タイトル。
なるほど確かにブロスナン曰く「極めて破壊的な男」だわーと思いました。
そんなデヴェローを追いかける若手エージェント・メイソンを演じるのは、
『G.I. ジョー バック2リベンジ』(13)でコブラコマンダーを演じていたルーク・ブレイシー(オーストラリア人)。
どことなく「ショーン・ビーンの息子」的な風貌で、
2人の対決シーンは『ゴールデンアイ』(95)のボンド対トレヴェルヤンを連想させました。
メイソンはまだ若いので、
デヴェローほど非情になりきれない、女性に弱い、熱くなりやすいという、
ある意味非常に分かりやすいキャラ。
しかもデヴェローとは「弟子以上・親友未満」という女子的には胸キュンな設定の間柄。
(「アイツは友達だ」というデヴェローのセリフも一応ありましたが)
メイソンはこの映画で一番得な役かもしれません。
『ハートブルー』(91)のリメイクでジョニー・ユタ役を演じるのはこの人らしいですね。
果たしてこの選択は吉と出るか凶と出るか…。
ちなみにブロスナンとヒロインのラブシーンがない代わりに、
ブレイシーと若手女優エリザ・テイラー(メイソンの自宅のお隣さん・サラ役)のラブシーンがあります。
事件の鍵を握るヒロイン・アリス役はオルガ・キュリレンコ(ウクライナ人)。
『007/慰めの報酬』(08)のボンドガールですが、
本作では5代目ボンドのブロスナンとのラブシーンはナシ。
地味な服装のソーシャルワーカーを演じております。
…が、映画の後半で「高級コールガールに変装して悪党フェデロフに接触」という、
実にキュリレンコさんらしい”見せ場”が用意されてます。素晴らしい。
CIA上官役でうさんくさい匂いをプンプンさせる個性派俳優が二人。
デヴェローの元上司ハンリー役はビル・スミトロヴィッチ。
スミトロヴィッチって誰?という人に簡単に説明すると、
『テッド』(12)でスーパーマーケット店長のオッサンを演じた人です。
本作では頭を坊主にしてヤクザ度3割増し。
ちなみにスミトロヴィッチ本人は、
ロサンゼルスにあるダウン症啓発運動の協会に20年以上参加しているマジメな方です。
一方、メイソンに「デヴェローを始末しろ」と命令する慇懃なCIA高官ワインスティン役は、
『追いつめられて』(87)でプリチャード役を憎たらしく演じていたウィル・パットン。
こちらはよく出来たカツラ装着で胡散臭さ3割増し。
『テッド』の変なスーパー店主と、『追いつめられて』の憎たらしい男、
果たしてこの映画ではどちらが信頼できる人物なのか?
本作最大の敵役、
腹黒いロシア大統領候補フェデロフ役はセルビア人俳優のラザル・リストフスキー。
この人『007/カジノ・ロワイヤル』(06)に出ていたそうなのですが、
一体何の役かと思ったら、どうらやカジノのポーカープレイヤー役だそうです。
それは気づかなかった…。
そして『ゴールデンアイ』でのゼニア・オナトップ的ポジションの女殺し屋、
アレクサ役で妙な存在感を発揮するのは、ボスニア出身のアミラ・テルツィメヒク。
ダンサー兼女優だそうです。
劇中でもこれ見よがしに見事な開脚を披露しております。
CIA側で脇役ながらもちょっと目立つ役をもらっているのは、
メイソンに協力的な女性職員シリア役のカテリーナ・スコーソン(カナダ人)。
試写の時に「どこかで見た顔だなー」と思ったのですが、
『復讐捜査線』(10)に重要な(かつ悲惨な目に遭う)役で出ていたあの人でした。
ちなみにその時の役名は”メリッサ”でした。
助演キャストはいささか地味な俳優陣で固められていますが、
皆さんなかなかいい芝居をしているので、
是非彼らの出演シーンにご注目下さい。