先月末から仕事で優先的に聴かなければならないサントラがいろいろ溜まっておりまして、
なかなか新しいサントラを開拓する余裕がなかったのですが、
少し時間に余裕が出来た時に勢いでまとめ買いしました。
とりあえず、この2週間くらいで買ったのはこんなラインナップ。
その1:『プライベート・ウォー』(18)
ロザムンド・パイクが実在の戦場記者、メリー・コルヴィンを演じた実録ドラマ。
ちょうど先週末から劇場公開になりましたね。
監督は『カルテル・ランド』(15)『ラッカは静かに虐殺されている』(17)のマシュー・ハイネマン。
音楽もこれらの作品でハイネマンと組んだH・スコット・サリーナス。
ドキュメンタリー出身監督による劇映画ということで、
音楽もドキュメンタリー映画タッチ。
メロディアスなテーマ曲のバリエーションで聴かせるというよりは、
ウードやギター、マンドリン、シンセ、ヴァイオリンを使った音響系スコアに近い感じ。
アニー・レノックスが8年ぶりに新曲を手掛けたことで話題になった主題歌”Requiem For A Private War”も、
90年代的な例え方で何ですが「ダイアン・ウォーレンと共作しました!チャート上位狙ってます!」みたいな感じではなくて、
本当に「志半ばで倒れたメリーのために歌いました」という追悼歌のような作風で、 レノックスの誠実な姿勢が伝わってくる主題歌だな、と思いました。
「自分のアルバムの曲を映画に提供した主題歌」ではなく、
「映画のために書き下ろした主題歌」なので、
ちゃんとサントラ盤に収録されているのがポイント高いです。
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その2:『ベラのワンダフル・ホーム』(19)
『アメリカン・グラフィティ』で知られる俳優チャールズ・マーティン・スミスの監督作。
音楽は弊社リリース作品「ケルティック・ロマンス」でおなじみマイケル・ダナさん。
チャールズ・マーティン・スミスが監督、もしくは出演した動物映画というと 『イルカと少年』(11:監督作)や『ネバー・クライ・ウルフ』(83:出演作)のマーク・アイシャムの印象が強いのですが、
実は『ホワイトクラッシュ(原題:The Snow Walker)』(03)でダナさんとコラボ済みだったりします。
ダナさんの音楽というとワールドミュージックの要素を採り入れた音作りとか、 ミニマルな作風やもの悲しいメロディが特徴ですが、
今回も短いフレーズのモティーフを変奏させている感じかなと。
『僕のワンダフル・ライフ』(17)はレイチェル・ポートマン、
『僕のワンダフル・ジャーニー』(19)はマーク・アイシャムということで、
近年ブームのわんこ映画の音楽にダナさんも参入!といった感じのサントラです。
ライナーノーツの執筆依頼があったら是非書かせて頂きたいところですが、
今のところ国内盤のリリースはなさそうでちょっと悲しい。
A Dog’s Way Home – Original Motion Picture Soundtrack (amazon)
その3:『THE INFORMER/三秒間の死角』(19)
ジョエル・キナマン主演のスリラー映画のサントラ。
音楽はブルック・ブレアとウィル・ブレアのブレア・ブラザーズ。
「このブレア兄弟という名前、どこかで見たことあったなぁ、何だったっけ」と思っていたら、 彼らは『グリーンルーム』(15)の音楽を担当してました。
今回も限定空間型スリラーということになるのかな。
音楽的にはこちらも複雑なリズムが特徴のメロディレスな音響系スコアといった感じ。聴きこむといろいろな発見がありそうな気がします。
THE INFORMER – Original Motion Picture Soundtrack (amazon)
THE INFORMER/三秒間の死角(TOWER RECORDS)
この中では、やはり個人的には『ベラのワンダフル・ホーム』の音楽が一番よかったです。
映画本編も観てみたいですね。