先日、BANGER!!!で『スカーフェイス』(83)の音楽コラムを書きました。
『スカーフェイス』 過激なバイオレンスにセクシーなディスコ音楽!
EDM界の巨匠ジョルジオ・モロダーの功績
https://www.banger.jp/movie/59235/
ワタクシ「自分は『ゴッドファーザー』(72)より『スカーフェイス』のほうが好きです」と公言すると、友人・知人からは十中八九「え~マジですか~?」というリアクションをされるのですが、そういう反応を返してくる人の6割ぐらいは『スカーフェイス』を観たことがなくて、残りの4割くらいはそもそも映画の存在自体を知らなかったりして、四半世紀くらい非常に肩身の狭い思いをしてきたのですね。
で、まぁそんな当方の憤懣やるかたない思いと、溢れんばかりの『スカーフェイス』愛を今回のBANGER!!!コラムにまとめて注ぎ込んだ次第です。
そんなわけで、自分が長年書きたいと思っていたことはほとんど書けたと思うのですが、もうちょっと補足しておいた方がいいかなというネタもあるので、少しばかり自分のブログで書かせて頂きます。
その1:コラムに書けなかったポール・エンゲマンの代表作
トニー・モンタナの成り上がり人生が最高潮に達した時、景気よく流れるテーマソング「Scarface (Push It To The Limit)」。
アゲアゲなサウンドに乗せて魅惑のファルセット・ヴォイスを聴かせるのはポール・エンゲマン。
彼がフロントマンを務めたバンド「デバイス」はアルバム1枚をリリースして解散、後期リードシンガーとして参加したアニモーションも数年後に解散…と所属したバンドが短命で終わるジンクスのある方ですが、彼の代表作のひとつにジョルジオ・モロダーと合作したロス五輪の公式使用曲「Reach Out」があります。
コロナ禍での東京五輪の強行開催で気が滅入っていて、五輪ネタを書く気力がなかったのでコラムには書けませんでした。
その2:デボラ・ハリー「Rush Rush」の”あのスラング”の意味
バビロン・クラブ初登場シーンでガンガン流れていた、デボラ・ハリーの「Rush Rush」。
歌詞に”Yayo (もしくはYeyo)”という単語が出てきますが、ドラッグ(コカイン)のスラングなのだそうです。ブライアン・デ・パルマが『スカーフェイス』の映像特典で、バビロン・クラブで流れる音楽のことを「コカイン・サウンドだ」と表現してましたが、この曲に関して言えばサウンドだけでなく歌詞もそうだったということになります。
その3:「ネバーエンディング・ストーリーのテーマ」の補足
「Dance Dance Dance」を歌うベス・アンダーセンの紹介で書いた、リマールの「ネバーエンディング・ストーリーのテーマ」。このネタ、最後の最後まで書こうかどうしようか悩みました。
…というのも、ミュージックビデオでこの曲を歌っているのはアンダーセンじゃないから。
マンディ・ニュートンというバックシンガーが、アンダーセンのボーカルにリップシンクして歌っているんですね。だからPVを観て「歌ってるの違う人じゃん!」とツッこまれるんじゃないかという懸念があったのです。
このへんの事情についてはウィキペディアにもいろいろ書いてあるので割愛しますが、かいつまんで説明すると、アンダーセンのパートはリマールのパートと別々にアメリカでレコーディングされたので、ミュージックビデオも一緒に収録の作業をしていないということなのだそうです。
リマールとアンダーセンのデュエットバージョンは、テレビの音楽番組で数回披露したみたいで、YouTubeにもひとつふたつ動画がアップされてました。気になる方は調べてみて下さい。
その4:映画『誘惑』(84)のサントラが最高によかった件
『スカーフェイス』のサントラにボーカリストとして参加したエリザベス・デイリーやベス・アンダーセンがこの映画でも歌ってるらしい、ということで仕事の資料として購入した映画『誘惑(原題:Thief of Hearts)』のサントラ盤。
テーマ曲の作曲がジョルジオ・モロダー(スコア作曲はハロルド・フォルターメイヤー)、主演がスティーヴン・バウアーということで、『スカーフェイス』と浅からぬ縁がある映画だったのですが、サントラを聴いてみたらものすごくよかった。
80年代の王道を行くシンセスコア&ダンサブルなシンセポップで構成されたアルバムなのですが、全曲メロディックで捨て曲ナシの名盤でした。
映画自体はなかなか観る機会がなくて、1度くらいなんとなく観たかなぁ、というぐらいの記憶しかないのですが、こんなに音楽がいい作品だったとは思わなかった。今度映画チャンネルで放送されたら、録画してしっかり観ようと思います。
ちなみにテーマ曲「Thief of Hearts」のPVでスティーヴン・バウアーと共演したシンガーのメリッサ・マンチェスターによると、「彼はイケメンでナイスガイだった」そうです(ブックレットのライナーノーツにそう書いてあった)。
『スカーフェイス』の撮影裏話については、ブルーレイの映像特典やドキュメンタリー映画『デ・パルマ』を観たり、ハードカバー「オリバー・ストーン 映画を爆弾に変えた男」を読んだりするのがオススメ。
ストーンが撮影現場から追い出された件についても、ブライアン・デ・パルマとストーンの両方の視点から見ると、映画に対するそれぞれの考え方が分かるのでフェアで面白いと思います。それにしても、『スカーフェイス』は何十回観ても全く飽きない不思議な魅力に満ちた映画です。
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