フェリーさんが1994年に発表したアルバム「MAMOUNA」のデラックス・エディションを買いました。
このアルバムの目玉は、何と言っても1990年代当時お蔵入りになってしまったアルバム「HOROSCOPE」のオフィシャルな音源が聴けること。
当時「MAMOUNA」やその前の「TAXI」の国内盤を買ったとき、差し込み解説書に「”ホロスコープ”はハイテクを駆使した56チャンネルのスーパー・マルチ・レコーディングを試みるも、テクノロジーに依存しすぎて頓挫したアルバム」と書かれていて、一体どんなアルバムだったのだろうと30年近く思いを巡らせていたものです。
音源が流出してブートレグ盤が出ていたらしいのですが、ワタクシ海賊版の類いは手を出さないようにしているので、「HOROSCOPE」の音源はこれまで全く聴いたことがなかったのでした。
まずデラックス・エディションの内容は以下の通り。
Disc1 (Mamouna)
- Don’t Want to Know
- N.Y.C.
- Your Painted Smile
- Mamouna
- The Only Face
- The 39 Steps
- Which Way to Turn
- Wildcat Days
- Gemini Moon
- Chain Reaction
Disc 2 (Horoscope)
- Where Do We Go from Here (The 39 Steps)
- The Only Face
- Desdemona (N.Y.C.)
- S&M (Midnight Train)
- Loop De Li
- Gemini Moon
- Raga
- Mother of Pearl
Disc 3 (Mamouna Sketches)
- Mamouna (Instrumental Edit ’89/’94)
- Your Painted Smile (Instrumental – First Draft ’89)
- Your Painted Smile (With Guide Vocals) [later Version ’89]
- Your Painted Smile (Piano and Vocals ’93)
- NYC/Desdemona (Instrumental ’91)
- Robot (Instrumental) [first Draft ’89]
- The Only Face (Instrumental) [first Draft ’89]
- The Only Face (Piano and Vocal ’93)
- Loop De Li (Instrumental) [first Draft ’89]
- Horoscope Strings (Instrumental ’90)
今回のデラックス・エディションを聴いてよく分かったのは、2014年のアルバム「AVONMORE」が「HOROSCOPE」色の強い作品だったということでした。
“Loop De Li”と”Midnight Train”、そして”One Night Stand”の原型となる曲が1989年~1994年の時点でほぼ出来上がっていた(Disc 3の”Robot”というインストのデモ曲が”One Night Stand”の原型でした)。
「MAMOUNA」と「AVONMORE」の2枚で「HOROSCOPE」は一応の完成を見た、ということなのかな。2014年になってようやくフェリーさんが思い描いていた形で曲を作れる環境が整ったということでもあるのかもしれません。
「AVONMORE」は今でもウォークマンに入れてちょくちょく聴いていますが、「HOROSCOPE」で初期バージョンの曲を聴いたことでますます愛着がわいてきました。
Bryan Ferry – AVONMORE (amazon)
Bryan Ferry – AVONMORE (TOWER RECORDS)
そして「HOROSCOPE」でもうひとつ興味深い発見だったのが、“Mother of Pearl”のセルフカヴァー・バージョン。
ロキシー・ミュージックの原曲の激しい前半パートをばっさりカットして、転調した後半のスローテンポな部分だけを打ち込み主体のエレクトロ・ポップに”リ・メイク/リ・モデル”した曲。
ワタクシこの曲を『私が愛したギャングスター』(00)のサントラで2000年当時聴いていたんですね(ブラーのデーモン・アルバーンが劇伴を作曲したアイルランド映画)。
当時はあの映画のサントラのためにレコーディングした曲だとばかり思っていたのですが、どうも「HOROSCOPE」が頓挫してお蔵入りになった音源を提供したということだったようです。
サントラに収録されていたのはショートバージョンでしたが、今回は9分越えの完全版での収録。
せっかくなので「MAMOUNA」も久々に聴きなおしてみましたが、これもいいアルバムですね…。
当時は音楽評論家に「緩い」とか「ぬるま湯ラブソング集」とか言われていて、むしろカヴァー集の「TAXI」のほうが高評価だったような記憶があります。
でも「MAMOUNA」もいいアルバムですよ。
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