映画『四月の魚』のサウンドトラックアルバムに胸をときめかせたあの頃のこと。

4月1日にWOWOWで『四月の魚』(86)の放送があるということで、先月末は久々にサントラ盤を聴いて過ごしました。

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四月の魚 サウンドトラック +2(TOWER RECORDS)

映画が公開になった1986年と言えば、自分はまだ小学生。
YMOリスナーとして幸宏さん派だった母に連れられて、散開ライブや「WILD & MOODY」のライブなどに行ったりはしていたものの、この時の自分は「映画館で映画を観る」という習慣がほとんどありませんでした(アニメ映画をたまに観るぐらい)。洋画はもっぱらテレビの「日曜洋画劇場」や「金曜ロードショー」などで観る感じでした。
そんなわけで、母は自分が学校に行っている間にささっと『四月の魚』を観てきたのでした。

学校から帰って来て母に「(映画)面白かった?」と尋ねたら、「幸宏さんはかわいかったけど、観ていてちょっと恥ずかしかった」と答えていたのをよく憶えています。「なんで?」と聞いたら「演技がヘタだった」という実にストレートな感想が返ってきました。
その時は「ふーん」という感じでしたが、後年(高校生の頃だったと思う)映画を観たら納得しました。

…うん、確かに観ていてちょっとツラインダ…。

ああ、幸宏さんごめんなさい…。


YMOのアルバム『SERVICE』収録の「S.E.T.+YMO」の落盤コントでは気弱な閉所恐怖症キャラをうまく演じていて、何を言ってるか聞き取りにくい教授より芝居っ気があったのになぁ…。

『戦場のメリークリスマス』(83)の教授も決して演技がうまいわけではなく、観ていて結構ハラハラする場面も多かったのですが、目力と気迫(異様なテンションとも言う)で何とかカバーしていた。
でも『四月の魚』はコメディなので、演技の至らない部分を気迫で補えない。ことほどさように「軽いお芝居」というのは難しいものなのです。

余談ですが「S.E.T.+YMO」のコントで最もいい演技をしていたYMOメンバーが細野さんであることはつとに有名。「低音の美声でとんでもないことを話す」という実においしい役を演じています。

しかし幸宏さんが作曲した劇伴と主題歌/挿入歌は掛け値無しに素晴らしい。
当時はあまりそういう感想を持ちませんでしたが、「フランシス・レイやバート・バカラックの音楽世界をテクノポップ/シンセポップの解釈で再構築した劇伴」という感じ。
子供の頃、母が買った『四月の魚』のサントラのカセットテープを何度も何度も聴いて、自分の中で「たぶんこういう感じの映画なんだろう」と勝手にオシャレでロマンティックな内容を妄想したものです。

小学生の時に初めて主題歌を聴いて、「なんていい曲なんだろう」と子供心に思ったのを鮮明に憶えています。「こんないい曲が流れるなんて一体どんな素敵な映画なんだろう」とも思いました。あんなドタバタした映画だとは想像もしませんでした。

3拍子の”Brand New Day”もロマンティックでいいですね。2018年の「Saravah!」完全再現ライブの第2部でこの曲の生演奏が聴けた時は本当に嬉しかった。

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いま改めて聴いてみると、「スピーク・イージー・クラブにて」という劇伴は『銀河の三人』(87)のフィールドマップ曲にも通じるものがあるような気がします。
そして以前『ノイギーア ~海と風の鼓動~』(93)のサントラ盤をブログで紹介した時にも書きましたが、「危うし!昌平」という劇伴は、のちに『ノイギーア』の「海の怒り」という曲(船が海賊に襲われるシーンの曲)に発展していったようにも聞こえる。
「トイレの人のテーマ」で聞かれる口琴は、のちに『ガクの冒険』(91)の劇伴でも使われていました。

ちなみに参加ミュージシャンは上野耕路(ストリングス・アレンジ/生ピアノ)、白井良明(ギター)、ピエール・バルー(ヴォーカル)。
やはり上野氏のストリングス・アレンジが大変よいです。幸宏さん曰く「シンセの(ストリングス)は全部自分です」とのことですが。

「幸宏さんとテクノポップな映画音楽」といえば、1990年代後半に『CINETECHNO』という映画のテーマ曲のテクノポップカヴァー集を2タイトル(恋愛映画の「LOVE」編と「YUKIHIRO SELECTION」編)リリースしていましたね。幸宏さんはアルバムプロデューサーで、演奏者としては各1曲ずつしか参加していなかったので、自分は購入を見送ってしまいましたが。

さて『四月の魚』のサントラ盤は2006年にリマスター盤が紙ジャケで再販され、自分はこの音にすっかり耳が馴染んでおります。
なので2022年にボーナストラック2曲を追加したSACDの最新リマスター盤が発売になったものの、自分はまだ買っていません。

2022年盤ボーナストラックの「君にサープライズ!」と「四月の魚」のシングル・バージョンは、2009年にBlu-Spec CDで発売された幸宏さんのアルファ時代のベスト盤「Turning The Pages Of Life」に収録されていたので、こちらで聴けるからいいかなと。

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