12月6日から『ラブ・アクチュアリー』(03)の4Kデジタルリマスター版上映が始まるとのこと。
いまと違って当時は日米(日英)同時公開になる作品はほとんどなくて、自分が学生の頃はアメリカで夏の超大作だった作品が、日本では正月映画として公開されるような状況でした。
したがって『ラブ・アクチュアリー』も日本ではクリスマスシーズンではなく、その翌年(2004年)の2月、つまりバレンタインデーシーズンに上映されたのでした。「ロマンティックな群像劇を何とかロマンティックな時期に公開したい」という苦肉の策だったと言えるでしょう。
あれから20年、ようやく然るべき時期にこの映画が劇場公開される日が来たんですね…。感慨深い。
当方はこの20年の間に『ラブ・アクチュアリー』のサントラ盤を3種類買い揃えたので、この機会にざっとご紹介していこうかなと思います。
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まず劇場公開当時発売になったのが歌曲集のサントラ盤。実は今回ご紹介するサントラの中でこれが一番のクセモノだったりします。それはなぜかと申しますと、US盤、UK盤/国内盤で収録曲(と曲数)が微妙に違うから。
US盤はクレイグ・アームストロングの劇伴が1曲だけで、ガブリエルの”Sometimes”もカットされています。そして”Jump (For My Love)”がポインター・シスターズのオリジナルバージョンに置き換えられていて、マルーン5の”Sweetest Goodbye”が”「Sweetest Goodbye”と”Sunday Morning”のメドレーに変更されている。曲順もUK盤と全く異なっています。
このタイプの映画なら国内盤サントラも出るだろうと思ったものの、「果たして国内盤はUS盤とUK盤のどちらの仕様で出すのか?」ということが気になった。クレイグ・アームストロング好きの自分としては、劇伴を多く収録している内容のものを買いたかった。
結局、国内盤はUK盤準拠の20曲収録(うちアームストロングの劇伴3曲)という内容でリリースされることになり、歌詞/対訳も付属することだし…ということで自分は国内盤を買ったのでした。
前述のとおり自分はアームストロングの劇伴目当てだったので、18~20曲目の劇伴とビル・ナイおじさまの歌”Christmas is All Around”ばかり聴いていました。この歌はトロッグスのヒット曲”Love is All Around”の替え歌なので、曲の良さは折紙付き。リチャード・カーティス監督は脚本を手掛けた『フォー・ウェディング』(94)でもこの曲を使っていたから、たぶん思い入れのある曲なのでしょう。
Love Actually Original Motion Picture Score – amazon
そして時は流れて2021年。La-La Land Recordsからクレイグ・アームストロングのスコア盤(劇伴集)サントラが発売になったのでした。「これこそまさに自分が欲しかった『ラブ・アクチュアリー』のサントラだよ…!」ということで、即予約購入しました。ちなみにジャケットはリバーシブル仕様です。
アームストロングの劇伴28曲と追加音楽5曲で収録時間62分。追加音楽の中には”Christmas is All Around”のフィルム・バージョンとサウンドトラック・バージョンも含まれています。
曲のアレンジやビル・ナイおじさまの歌い方が結構違うので、聞き比べて面白かった。あとアームストロング編曲のインスト・バージョンも絶品でした。
劇伴をアルバムでまとめて聴くと、先の歌曲集に収録されていた”Glasgow Love Theme”と”PM’s Love Theme”、”Portugese Love Theme”が映画の主要テーマ曲3つだったことがよく分かりました。
“Glasgow Love Theme”が映画のメインテーマ、”PM’s Love Theme”は英国首相(Prime Minister)デイヴィッドとナタリーのテーマ、”Portugese Love Theme”は作家のジェイミーとポルトガル人家政婦オーレリアのテーマという感じ。
Love Actually – The Love Themes For Orchestra – amazon music
Love Actually: The Love Themes for Orchestra – TOWER RECORDS
そして2023年。アームストロングは映画製作20周年の節目に「Love Actually: The Love Themes for Orchestra」というセルフカヴァーアルバムをリリースしました。
映画で使われた劇伴を”Extended Version”として独立したオーケストラ曲に再構築した作品集とでも申しましょうか。例えば2分くらいだった”Glasgow Love Theme”が4分の曲になっていたり、1分程度の曲だった”Croissants in France”が4分の曲になっていたりする感じ(その一方で長さがそれほど変わっていない曲もあります)。
このアルバムには”Extended Version”のほかに”Chamber Version”というものも収録されていて、聞き慣れた劇伴が室内楽風のアレンジを施され、ちょっと違う雰囲気になっていて面白かった。
当初は「スコア完全盤を持っているし、セルフカヴァー集はどうしたものかな…」と購入を躊躇していたのですが、アームストロンガーの矜恃を見せてポンッとこのアルバムを買って本当によかったです。
「ポップミュージック感覚で聴けるオーケストラ音楽集」という感じで聴きやすいし、アルバムを聴いていて心地よい気分になります。やはりクレイグ・アームストロングの音楽はいいです。
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