追悼 デニス・ホッパー

dennis hopper

現地時間の5月29日朝、俳優のデニス・ホッパーが亡くなりました。
享年74歳。合掌。

ニュース映像で痩せ細った姿を見た時から覚悟はしていたけれど、
イーストウッドが80歳になっても精力的に映画を撮っている事を
考えると、まだまだホッパーには「永遠の不良中年」として活躍して
ほしかったな、とも思う。

とはいえ、若い頃からドラッグ&アルコール漬けの退廃的な生活を
送っては入退院を繰り返していたから、歳を取ってからその反動が
来たのかなと思うと、「その割には長生きしたほうなんじゃないだろ
うか」という気もするのです。


ちなみに僕のホッパー映画初体験は『ブルーベルベット』(86)でした。
確か中学生の頃、深夜にTVで放送されていたやつを観たのですが、
この時のホッパーがマジで恐かった。あの吸入器でスーハーしながら
Fワードを連発してキレまくる変態オヤジ、フランク・ブース役ですね。
本当にこういう頭のおかしい人なんじゃないか、と思った自分はまだ
若かった。イザベラ・ロッセリーニのアレも含めて、夜中に15歳の少年
が観る映画じゃないわな。真っ昼間に観るのもどうかと思うけど。

その後観たのは『トゥルーロマンス』(93)と『スピード』(94)だった気が
する。『トゥルーロマンス』のクリストファー・ウォーケンとホッパーの
対決シーンも背筋が凍り付くような恐さがありました。普通、こういう
映画に出て演技が評価されれば第一線に返り咲けるものなんですが、
ホッパーはB級・C級路線まっしぐら。最後にホッパー御大を映画館の
スクリーンで観たのは2005年の『ランド・オブ・ザ・デッド』でした。
『ノックアラウンド・ガイズ』(02)とか『バスキア』(96)で抑えたいい演技
を見せているんだけどなぁ、実に勿体ない。そういえば、『ランブルフィ
ッシュ』(83)の父親役もよかった。

彼の代表作『イージー・ライダー』(69)は大学生になってからちゃんと
観ました。あの映画のテーマは、ある程度自分も歳を取らないと分か
らないだろうと思ったので。あのラリって編集したようなトリップ映像は、
多分ホッパーも本当にラリっていたんだと思う。経験者じゃなきゃあんな
ドラッギーな編集は出来ません。

ホッパーといえば、『グランドセフトオート バイスシティ』の声優出演も
笑わせて頂いたっけ(サメと大量のマッシュポテトを愛する映画監督
スティーブ・スコット役)。ゲーム内容といい声優の顔ぶれといい、粋な
作品でした。

何はともあれ、あの世でゆっくり休んで下さい。
レスト・イン・ピース。