さて『フランケンウィニー』(12)の音楽についてなのですが、僕は今回サントラ盤のライナーノーツを担当させて頂いたため、ここでダニー・エルフマンの音楽についてこと細かに書いてしまうと、「ライナーノーツの意味ないじゃん!」という事になってしまうのです。
なので、補足的な事をサラッと書かせて頂く事にします。
1984年製作の短編版『フランケンウィニー』では、音楽をデヴィッド・ニューマンとマイケル・コンヴァーティノが担当してました。エルフマンとティム・バートンが組んだのは長編デビュー作『ピーウィーの大冒険』(85)からなので、この時はまだ自由に作曲家を選べなかったのでしょう(『フランケンウィニー』は当時のディズニーからもお蔵入り同然の扱いを受けていたらしいので)。エルフマンも本格的な映画音楽の作曲はまだ担当してなかったはずだし。
まぁそれでも当時売り出し中だったニューマンとコンヴァーティノはかなり頑張ってレトロなホラー映画調のスコアを書いていたのですが、やはりバートン映画のファンとしてはダニー・エルフマンの音楽で『フランケンウィニー』を観たいという事になるわけです。
それがこうして実現するまで、実に28年かかったんですねー。
『ダーク・シャドウ』(12)の時は思ったよりハジケてなかったエルフマンの音楽ですが、今回は結構ハデに鳴らしてくれてます。スパーキー復活の儀式のシーンとか、映画後半のモンスター大暴れのシーンの楽曲は「いかにも」なエルフマン・サウンドになってますね。
今回はスコア盤の他に、歌モノをコンパイルした「フランケンウィニー アンリーシュド(Unleashed)!」というヴォーカル曲のコンピ盤が同時発売になっているのですが、これはいわゆる「インスパイア盤」でございまして、カレン・Oの主題歌と、エルザ・ヴァン・ヘルシング(声:ウィノナ・ライダー)が劇中で渋々披露する短い歌以外は映画の中で使われてません。スコア盤には意図的に主題歌を収録せず、インスパイア盤の方に入れて、どっちも買わせようというわけですな。『アリス・イン・ワンダーランド』のサントラもこんな売り方をしていたような。
というわけで、映画を愛するリスナーの皆さまは、ダニー・エルフマンのスコア盤の方を買って、歌モノはカレン・Oとウィノナ・ライダーの2曲だけiTunesでサクッと購入すればオッケーという事になります。
くれぐれもエルフマンのスコア盤を買おうとして、間違って「フランケンウィニー アンリーシュド」の方を買ってしまわれないようお気をつけて。
サウンドトラック盤はエイベックスから発売中です。
『フランケンウィニー』オリジナル・サウンドトラック
音楽:ダニー・エルフマン
品番:AVCW12902
定価:2,600円
※2018年8月25日追記
Walt Disney Recordsのライセンスがエイベックスからユニバーサルミュージックに移ったのに合わせて、『フランケンウィニー』のスコア盤もユニバーサルからリイシューされるようです。