新たな「作業用BGM」誕生の予感…。『wipE’out” CoLDSToRAGE: The Zero Gravity』サントラ盤

昨年末、某ショップのワゴンセールで掘り出し物のサントラ盤がないかな~と地道に検索していたところ、ひょんなことから『wipE’out” CoLDSToRAGE: The Zero Gravity』というアルバムを見つけました。

wipE’out” CoLDSToRAGE: The Zero Gravity SOUNDTRACK – amazon music
Wipeout: The Zero Gravity Soundtrack (CD) – TOWER RECORDS

もはや説明不要ですが、『ワイプアウト』(95)はプレイステーション/セガサターンで発売されたシグノシス社開発の近未来レースゲーム。
最大の特徴はマシンにタイヤがなく、反重力テクノロジーで地上から数メートル浮遊しているということ。SFCの『F-ZERO』(90)では再現できなかった「路面からフワフワ浮いて超高速で疾駆する機体を操る」感覚が新鮮なゲームでした。
「大味」「難易度が異様に高い」「無駄に濃い」というイメージだった「洋ゲー」への先入観を一変させる作品でもありました。時期的に『デストラクションダービー』(95)や『ESPN ストリートゲームス』(95)などと共にプレイステーションで「洋ゲー」推しが始まっていた頃かな。『ワイプアウト』は一部で「浮きゲー」とも言われていたような記憶があります。

で、『ワイプアウト』に話を戻しますと、このゲームは「音楽」と「デザイン」も注目を集めました。
デザイナーズ・リパブリックによるキッチュでスタイリッシュなアートワークと、ケミカル・ブラザーズやレフトフィールド、オービタルらが提供した当時最先端のテクノ/ハウスミュージックが、「ちょっとでも壁にぶつかったら容赦なく大減速」というゲームシステムにヒリヒリするような緊張感と不思議な高揚感をもたらしたものです(ちなみに続編の『XL』は当たり判定が緩和されて「コーナリングで壁面をシャリシャリ掠って曲がる快感」が生まれました)。『リッジレーサー』(93)と並んで、ゲーム音楽がクラブミュージック界隈とのリンクを果たした記念碑的作品でもありました。

Wipeout 2097 The Soundtrack – amazon

続編『ワイプアウトXL』(96)はサントラ盤が発売になっていたものの、第1作はサントラ未発売。
奥の手としてゲームソフトのCD-ROMをオーディオ機器にかければ収録曲が聴けますが、当方は第1作のソフトが手元にないので(当時買ったはずなのに…)それも叶わず。そんな中見つけたのが前述の『wipEout CoLDSToRAGE: The Zero Gravity』でした。

調べてみると2023年発売だったようで、CD版のサントラはほぼ在庫がなくなっているような状況。これは買わねばと思い、速やかにオーダーしました。

そして手元に届いたのがこちら。
CD2枚組のデジパック仕様でした。
裏面の怪しい日本語が実に『ワイプアウト』らしい…というかデザイナーズリパブリック的でよき。

本盤はCoLDSToRAGEことティム・ライトによる音楽集。
第1作だけでなく続編の曲も収録していました。

『ワイプアウト』の音楽というと前述のケミカルやレフトフィールド、プロディジー、フューチャー・サウンド・オブ・ロンドンの楽曲が紹介されることが多いのですが、このゲームの音楽の根幹をなすのはCoLDSToRAGEの楽曲だったのではないかと(個人的には)思っております。第1作の劇中音楽の大半はCoLDSToRAGEのものだったわけですし。

もう何年も前に某ゲーム音楽紹介本を買ったとき、本の中で『ワイプアウト』も紹介されていたのですが、CoLDSToRAGEの曲には全く言及されておらずガッカリした記憶があります。

…と、つい入れ込んでしまうぐらいCoLDSToRAGEの音楽がいいんですよ…。

『リッジレーサー』の「アッパーでアゲアゲなテクノ」とは違う、高揚感がありつつも抑制の効いたクールな仕上がり。延々聴いているとトランス状態になるようなテクノとでも申しましょうか。無機質な感じのビジュアルデザイン(とゲームシステム)で統一された『ワイプアウト』にピッタリなサウンドです。

Disc 1の1曲目”wipE’ out INTRO”のチュンチュン鳴る電子音を聴いた瞬間「ああ、こんな曲あったあった!」と懐かしくなりました。未来的な音楽を聴いて「懐かしくなる」というのも矛盾した話ですが。

“Body in Motion”や”Cairodrome”、”Canada”などプレイ中に何度も聴いた馴染みのある曲もあれば、聴いたことのない曲もあって、「これはどこで使われたんだ?」と思いましたが、どうやらセガサターン版『ワイプアウトXL』用の曲らしい。

自分が遊んでいたのはプレステ版の『ワイプアウトXL』だったので当時全く気がつきませんでしたが、PS版がケミカル・ブラザーズやフォーテック、プロディジーらの楽曲を大量に使用していたのに対して、サターン版は全曲CoLDSToRAGEの楽曲だったらしい。
ここまで露骨に音楽で差をつけますか…と思ったものの、CoLDSToRAGEの曲がめいっぱい聴けるのも個人的には羨ましかったり。今回のサントラでサターン版『ワイプアウトXL』の曲もしっかり聴けそうです。なおDisc 2にはリミックスバージョンも8曲収録しています。

ちなみに『wipE’out” CoLDSToRAGE: The Zero Gravity』は、アナログレコードのほかにデジタルでもリリースされています。「曲が聴ければそれでいい」という方はデジタル版で購入して頂いて問題ないでしょう。

wipE’out” – The Zero Gravity Soundtrack [Analog] – amazon
Wipeout: The Zero Gravity Soundtrack (Analog) – TOWER RECORDS

去年から作業用BGMでは『LATTICE』(00)の細野(晴臣)さんのトランスミュージックを重宝していたのですが、『wipE’out” CoLDSToRAGE: The Zero Gravity』も作業用BGMのラインナップに加わりそうです。

Daryl Hall & John Oates 関連商品 好評発売中!

■Eliot Lewis / 6 & One
iTunes
6 & One - Eliot Lewis

■Eliot Lewis / Enjoy The Ride+Master Plan
Enjoy The Ride (iTunes)
Enjoy the Ride - Eliot Lewis

Master Plan (iTunes)
Master Plan - Eliot Lewis

■Charlie DeChant / Like the Weather
iTunes
Like the Weather - Charlie DeChant