今、人工知能を題材にした映画が人気らしい。
現在公開中の『チャッピー』(15)もそうだし、
映画じゃないけど海外ドラマ『パーソン・オブ・インタレスト』(11~)の”マシン”もそうだし、
『ターミネーター：新起動（ジェニシス）』(15)もそういう話らしい。
そんなわけで先日『EX_MACHINA』(15)のサントラ盤を購入しました。
エクスマキナといってもHASYMOがテーマソングを提供したアレではありません。
『わたしを離さないで』(10)やリブート版『ジャッジ・ドレッド』(12)の脚本を手掛けたアレックス・ガーランドの監督デビュー作品です。
日本公開前なので詳細は割愛しますが、
大手検索エンジン会社のプログラマー（『FRANK』(14)のドーナル・グリーソン）が、
自社の天才CEO（『ドライヴ』(11)のオスカー・アイザック）が開発した女性型アンドロイド”AVA”（『ガンズ・アンド・ゴールド』(14)のアリシア・ヴィキャンデル）のチューリング・テストを進めていくうちに、やがてとんでもない事態に陥っていくというお話（らしい）。
基本的に登場人物が３人（プラス１人）の密室スリラーといった趣の映画ですが、
どうやらなかなか恐ろしい物語のようです。
『チャッピー』のウサ耳スカウト・ロボような愛くるしさはなくて、
どうも冷酷非情な「魔性の女」っぷりを見せてくれるらしい。
うーん、早く映画本編が見たい。
で、先日サントラ盤を購入しました。
ダウンロード版は全10曲48分くらいですが、
CDアルバム版はボーナストラック10曲を追加収録した２枚組仕様。
トータルでの収録時間は68分くらいです。
オリジナル・スコア作曲はベン・ソールズベリーとポーティスヘッドのジェフ・バロウ。
ポーティスヘッドといえば”Roads”（アルバム『ダミー』収録曲）がいろんな映画に使われましたねー。
自分が記憶しているだけでも『ザ・ウォッチャー』(00)とか『タンク・ガール』(95)、『ナディア』(94)で使われていたはず。
数日前にCSで観た『ロード・オブ・ウォー』(05)でも”Glory Box”が使われてたかな？
映画的な音楽を作るユニットなので、
それならオリジナル・スコアを作ってもらおうということになったのでしょう。
ソールズベリーとは2012年にDrokkというユニットを結成して、
「Music Inspired by Mega City One」という映画版『ジャッジ・ドレッド』の音楽を作った関係。
（ちなみに彼らが作った映画本編の音楽はボツになったようで、その後『リミットレス』(11)のポール・レオナルド＝モーガンの音楽に差し替えられたのでした…）
どうやらこの時点でアレックス・ガーランドと繋がりが出来た模様。
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映画音楽が本職ではないバロウを、TVシリーズやTV映画の作曲家のソールズベリーがサポートする形で曲作りをしていったのでしょう。
『EX_MACHINA』の音楽は全編アンビエント／エレクトロニカ・サウンドに仕上がっています。
ポーティスヘッド仕込みのドンヨリした耽美系アンビエントとでも申しましょうか。
『チャッピー』はAIが純真無垢な状態からの”成長”の物語でしたが、
『EX_MACHINA』のAVAは登場した時点で、
既に検索エンジンのデータが蓄積された”成熟”した状態なので、
純粋さとか子供のような愛らしさは音楽的に描かれていない印象。
それだけに「外見的には美しいけれども何を考えているか分からない」という、
背筋が凍るような恐ろしさを感じさせるサウンドになっているとも解釈出来ます。
トラック7の”The Test Worked”が流れる時、
恐らく映画本編でも何か大きな動きが出ているんじゃないかな…という気がしました。
先日ブログで紹介させて頂いた『シグナル』(14)もそうでしたが、
限られた空間と限られた（人数の）登場人物で展開する先読み不可能のSFスリラーには、
やはりこういった聞き手の想像力を喚起させるアンビエント・スコアがよく似合いますね。。
なおDisc1のトラック10、Bunsen Burnerという曲のみ、
Written, Produced and Performed by CUTSというクレジットになってます。
EX_MACHINA original soundtrack (amazon)
