ランブリング・レコーズ様からのご依頼で、
『フェリシーと夢のトウシューズ』(16)のサントラ盤にライナーノーツを書かせて頂きました。
今年の春頃だったかそれ以前だったか、
ワタクシ「Ballerinaという映画、バデルトさんが音楽を担当してるんだぁ」というのんきなツイートをした記憶があるのですが、
まさかライナーノーツを書かせて頂く機会が訪れるとは思いませんでした。
いやー嬉しいではありませんか。
で、先日もtwitterでちょこっと書いたのですが、
『フェリシー』のサントラは海外(ヨーロッパ)では「挿入歌+既製曲+バデルトさんのスコア4曲」というコンピ盤で配信のみのリリースだったのですが、
日本では上記のヨーロッパ版の内容に加えて、
クラウス・バデルトのオリジナル・スコアを完全収録したCD2枚組の豪華仕様でのリリースが実現したのでした。
しかも16ページフルカラーのブックレットつき。
そして盤面もフルカラーのピクチャーディスク。
これはもう「一筆啓上 (ランブリングさんの)本気が見えた」という感じです。
やったぜ。
ランブリングさんは先日の予告編音楽アルバム「Directors Cuts – EXTREMELY EPIC!」リリース時に、
日本盤のために権利元からバデルトさんの音源のライセンスを特別に解放してもらうという偉業を成し遂げたばかりですし、
昨年末はパリ・オペラ座の裏に迫ったドキュメンタリー『ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~』のサントラもリリースしていたので、
バデルトさんが音楽を手掛けたパリ・オペラ座が舞台のCGアニメーション映画のサントラをリリースするというのは、
ある意味必然だったというか、
何か運命的なものすら感じてしまったほどです。
…というわけで今回は2枚組のCDのうち、
Disc 2のバデルトさんのオリジナル・スコアのほうをご紹介させて頂きます。
Disc 2に収録されたバデルトさんのスコアは、
サントラ用に編集し直したものではなく、
映画本編で使われた楽曲をそのままの形で収録しています。
だから1曲10秒程度のものなどもいくつかありまして、
Disc 2だけで全40曲あります(収録時間は40分強)。
ここ数年バデルトさんの新作サントラを聴く機会があまりなかったので、
こうして彼の音楽がまとめて聴けるというのは実に嬉しい。
バデルティスト大喜びですよ。
そして「メインテーマ(フェリシーのテーマ)」や「オデットのテーマ」など、
明確かつ耳馴染みのよいメロディーが3、4種類ほど用意されていて、
バデルトさんのメロディーメイカーっぷりが存分に楽しめる内容になっています。
通常アニメ映画の音楽はスピーディーな展開に合わせて、曲の演奏時間が短めになる傾向があるのですが、
バデルトさんはその短い演奏時間の中で、
しっかり観客の心に残るような旋律を作り出していて、
とても手堅い仕事をしていらっしゃいます。
演奏もロンドン・メトロポリタン・オーケストラという本気のチョイス。
バデルトさんは『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』(03)の音楽の時、
サントラに”Overproduced by Hans Zimmer”という一文が加わってしまったため、
「『パイレーツ』でどれだけバデルトが曲作りに携わっていたか分からない」という見方をされることが一時期あったりもしましたが、
バデルトさんはデキる人なんですよ、本当に。
ワタクシ的には『リベリオン』(02)、『タイムマシン』(02)、『リクルート』(03)の3つはバデルトさんのベストワークだと思っております。
『すべて彼女のために』(08)や『この愛のために撃て』(10)など、
ヨーロッパ映画ではハリウッド映画の時のような派手なスコアをあまり書いていなかったバデルトさんではありますが、
今回の『フェリシーと夢のトウシューズ』では久々に華やかなフルオケ・スコアを聴かせてくれているので、
ジマーさんやリモート・コントロール・プロダクションズ系作曲家のサントラが好きな方はマストバイなアルバムだと思います。
歌モノ曲についてはまた次回。
『フェリシーと夢のトウシューズ』オリジナル・サウンドトラック
音楽:クラウス・バデルトほか
レーベル:Rambling RECORDS
品番:RBCP-3195
発売日:2017/07/26
定価:2,800円+税(2枚組)