『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』のサントラでアレクサンドル・デスプラの絶品フルオケ・スコアを楽しむ(サントラ盤ディスク1の紹介)

ランブリング・レコーズ様からのご依頼で、
『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』(17)サントラ盤のライナーノーツを書かせて頂きました。

サントラ盤はCD2枚組仕様で、
ディスク1にアレクサンドル・デスプラのオリジナル・スコアを23曲、
ディスク2に映画本編で使用された歌モノを9曲(うち1曲はミックス違い)を収録しています。

サントラ盤封入のライナーノーツでは文字数の都合で書けなかったこともいくつかあるので、
そのあたりのネタについては当方のブログで補足させて頂こうかなと思います。

…というわけで、まず今回はディスク1のデスプラさんのスコアについて。

 

実はワタクシこのサントラの仕事が来ると思っていなかったので、
昨年ブログでちょっとだけ『ヴァレリアン』のサントラをご紹介していたのですねー。

今週買ったサントラ盤 『VALERIAN AND THE CITY OF A THOUSAND PLANETS』
https://www.marigold-mu.net/blog/archives/8878

その時も少しスコアについて書いていましたが、
今回「リュック・ベッソン監督作なのに音楽がエリック・セラじゃない」という事実に不安を覚える方がいらっしゃるかもしれませんが、
セラはベッソンプロデュースの『ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!』(17)でマッシヴなアクションスコアを作曲していたので、特に不仲になったというわけではありません。次回作あたりでまたコラボしてくれると思います。

一方デスプラさんは諸般の事情で『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)の作曲を降板するという出来事がありましたので、
今回の『ヴァレリアン』で遂にデスプラさんのSFアクション音楽が聴けるようになって、筆者を含むサントラリスナー大喜びです。

果たしてその仕上がりはというと、
これがまた最高のフルオケスコアなのですよ!

 

『ローグ・ワン』のマイケル・ジアッキーノの音楽も確かによく出来ていたけれども、
これだったらデスプラさんの音楽で『ローグ・ワン』本編を観てみたかった…と思ってしまうぐらい見事な出来栄え。
フランス国立管弦楽団95人とフランス放送合唱団49人を動員したフルオケ+コーラスのスケール感はなかなかの迫力で、
アナログシンセ「MatrixBrute」を駆使したアクションシーンの音楽も聴き応えあります。

そしてプレス資料によるとベッソンは「メロディを多用した管弦楽的なスコア」をリクエストしたそうで、
確かに複数の特徴的なメロディ(=主題)がスコアの中に確認出来ます。
スコアの軸になるのは「パール人のテーマ」「ヴァレリアンのテーマ」の2つですね。
どちらも覚えやすいメロディなので、
何度かサントラを聴いているうちに(あるいは映画本編を観ているうちに)「ああ、このメロディがそうなのか」と気がつくのではないかと思います。
映画序盤のビッグ・マーケットのシーン限定で登場するモティーフも印象的でした。

正統派フルオケ・サウンドから未来的なシンセサウンド、
異国情緒あふれるサウンドに燃えるアクションスコア、
ドラマティックな愛のテーマなど、
多種多様なタイプの音楽がまとめて楽しめる”豪華幕の内弁当”的な音楽に仕上がっていると思います。

ベッソンと初コラボで、いきなり完成度の高い音楽を作り上げてしまったデスプラさんは、やはり只者ではありません。
そんな”才人”アレクサンドル・デスプラの仕事をサントラ盤でぜひ確かめて頂きたいと思います。

映画本編で使われた歌モノについてはまた次回。

【輸入盤国内仕様】
『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』オリジナル・サウンドトラック(2枚組・帯&解説付)
音楽:アレクサンドル・デスプラ
レーベル:Rambling RECORDS
品番:RBCP-5521
発売日:2018/03/21
定価:2,800円+税

 

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