年齢的なこともあるのか、ワタクシは90年代~2000年代前半の映画に思い入れのある作品が多かったり、映画を観た時の記憶が鮮明な作品が多かったりします。
そんなわけで、この時期の完全版サントラが発売されるとつい買ってしまうのです。
最近買ったサントラはこんな感じ。
その1:『X-メン』(00) 2枚組エクスパンデッド盤
映画公開当時はDeccaからサントラが発売されましたが、21年の時を経てLa-La Land Recordsから2枚組完全盤が発売になりました。
音楽は『ダイ・ハード』(88,90,95)、『リーサル・ウェポン』(87~98)シリーズのマイケル・ケイメン。
Deccaの通常盤が収録時間40分程度だったのに対して、今回のエクスパンデッド盤は収録時間2時間30分強の大ボリューム(映画で使われたスコア+別バージョンのスコア、通常盤に収録されたバージョンのスコアを収録)。待った甲斐がありました。
ケイメンは本作で「オーケストラ+シンセ」のスコアを作曲していますが、いわゆるハンス・ジマー一派とも違うシンセの使い方をしている印象。
ケイメンはあくまでフルオケスコアがメインで、シンセのサンプリング音や打ち込みのリズムを隠し味で使っている感じ。
「パーパーパーパッパッパパパパパッ!」というブラスの和音とか、「チャラリ~チャラリラリラッ!」というストリングスのサスペンスフルなフレーズなど、『ダイ・ハード』の音楽でおなじみの音が随所で使われていて、「あー、ケイメンの音楽だなぁ」と一発で分かるのが面白い。
アメコミヒーロー映画黎明期の作品らしい、近年主流になったスーパーヒーロー音楽とはちょっと趣の異なるスコアです。
その2:『アトランティスのこころ』(01)スコアアルバム
『アトランティスのこころ』も映画公開時にDeccaからサントラ盤がリリースになりましたが、劇中で使われた懐メロ+マイケル・ダナさんのスコア4曲(サントラ用に編集し直したもの)という構成でした。
今回のスコアアルバムは全14曲で収録時間22分ちょっと。
デジタルダウンロードで900円というお買い得価格でした。
スタインウェイのヴィンテージピアノを使ったという、涼やかで滋味豊かな音色が心にしみるスコアです。ワタクシ、この映画のスコアをもっと聴きたいなと長年思っていたので、こちらのスコアアルバムも20年待った甲斐がありました。
その3:『ブルータル・ジャスティス』(19)サントラ盤
WOWOWシネマで放送していたのを観たら音楽が印象に残ったのですぐさま購入。
小津安二郎映画的なテンポで会話していたかと思ったら、突然無慈悲なバイオレンス描写が挿入されたり、胃が痛くなるような緊迫した展開へとなだれ込んだり、S・クレイグ・ザラー監督の独特な演出にすっかりハマってしまった次第。159分の長丁場を一気に観てしまいました。
で、サントラはというと、ザラー監督自身が作曲してオージェイズに演奏してもらうという徹底したこだわりぶり。この情報を事前に知らなければ「劇中で懐メロを使っている」と勘違いしてしまうほど、70年代テイスト溢れる歌モノを聴かせてくれています。
この映画は基本的にスコアという概念がなくて、「劇中音楽=カーステレオやダイナーなどの店内で流れている曲」扱いなのも面白かった。
サントラ盤は全8曲で収録時間は35分ちょっと。
劇中で使われたジャズ系の楽曲は未収録で、70年代ソウル調の歌モノがメイン。
“Shotgun Safari”がメインテーマ曲という位置づけなのか、この曲だけブックレットに歌詞が載ってました。ワタクシ的には”Street Corner Felines”がお気に入り。
レコードプレーヤーを持っている人なら、アナログ盤で聴くのも雰囲気があっていいんじゃないかなというサウンドです。