La-La Land Recordsから全世界5,000枚限定で発売になった『スカーフェイス』(83)2枚組エクスパンデッド盤サントラを買いました。この日が来るのをどんなに待ち続けたことか…。
映画の公開は1983年。通常盤サントラはジョルジオ・モロダーのスコア2曲に挿入歌8曲のコンピレーション盤で、モロダーのスコアを聴きたかったら、映画本編を観て楽しむしかないという状況が長いこと続いておりました。
映画公開20周年になったら完全盤サントラが出るのではないか、いや30周年目にはさすがに何か出すだろう…というように、映画公開から10年単位の節目に完全盤サントラの発売を待ちわびていたのですが、40周年を間近に控えた39年目にして遂に今回の2枚組サントラがリリースされたというわけです。たぶん、権利関係とかいろいろ厄介だったんでしょうね…。人気作だし。
コロナ禍は一向に収束することなく第7波に突入、ウクライナとロシアの戦争も長引いているし、日本国内も物価高に電力不足、地震も頻発しているし、治安もどんどん悪くなっていて、もう長生きしていてもいいことなんてないんじゃないかと思うようになってきましたが、こうして宿願だった『スカーフェイス』の2枚組拡張盤サントラが手に入ったので、ひとつだけいいことがあったなという感じです。
SCARFACE Expanded Motion Picture Soundtrack (TOWER RECORDS:輸入盤)
SCARFACE Expanded Motion Picture Soundtrack (TOWER RECORDS:輸入盤国内流通仕様)
SCARFACE Expanded Motion Picture Soundtrack (amazon:輸入盤国内流通仕様)
Disc 1はモロダーのスコアを28曲、77分ディスクいっぱいに収録。
28曲目は未使用のトレイラー・ミュージックだからスコアは74分くらいですね。
ワタクシ映画本編を何度も観ているので、曲タイトルを見なくても、曲を聴いただけでどの場面で流れたものかすぐ分かってしまいます。
通常盤では聴けなかったオープニング/エンディングタイトル曲が聴けるのがすごく嬉しいし、シスコンの傾向のあるトニー・モンタナが、妹のジーナに男がイチャついて来た時にものすごい形相になる時の不吉なシンセ音のフレーズもバッチリ聴けます。嗚呼、ささやかな幸せ。
Disc 2は通常盤の内容をリマスターして収録したほか、”Scarface (Push It To The Limit)”と”Rush, Rush”のエクステンデッド・ミックス、ベス・アンダーセンの”Right Combination”、ジョー・エスポジトの”Success”、そのほかソース・ミュージック(劇中未使用曲含む)を13曲収録。アルバムの合計収録時間は2時間36分30秒という超充実した内容となっておりました。
以前BANGER!!!のコラムでも書きましたが、バビロン・クラブの店内BGMを既製曲のコンピレーションにするのではなく、全てジョルジオ・モロダーに書き下ろしてもらったブライアン・デ・パルマのセンスは素晴らしいなと改めて思いました。
『スカーフェイス』 過激なバイオレンスにセクシーなディスコ音楽!EDM界の巨匠ジョルジオ・モロダーの功績
https://www.banger.jp/movie/59235/
もしこの映画がリメイクされたら、きっと挿入歌は人気アーティストのコンピになるでしょう。でも、それじゃダメなんだろうなと思います。
デ・パルマが『スカーフェイス』ブルーレイ特典のインタビューでも言っていましたが、この映画の音楽は「コカイン・ミュージック」と形容されるような、きらびやかでハイになれる享楽的なものである必要があったと。
そしてサウンドの統一感を出すためには、既製曲の寄せ集めではなく、ひとりの作曲家が書き下ろした曲でまとめなければならなかった。
さすがデ・パルマは『ファントム・オブ・パラダイス』(74)を撮った人だけあって、音楽ことがよく分かっていらっしゃるなと思いました。
何はともあれ、この『スカーフェイス』2枚組拡張盤サントラ、ファンならば長く愛せるアルバムになること間違いなしです。