11月のBANGER!!!のコラムで、『マネーボール』(11)以来久々にマイケル・ダナさんにインタビューしました。
本屋大賞1位のミステリーを映画化!
『ザリガニの鳴くところ』“湿地帯の音楽”って?
劇伴作曲家マイケル・ダナに独占インタビュー
https://www.banger.jp/movie/87084/
こちらの作品、国内盤サントラが発売される運びになったようなのですが、音楽解説の仕事が当方に回ってこなくて、ここだけの話ものすごく落ち込んでおりました。
そんな折、マイケルさんから「最近どうしてる?」と連絡が来まして、9月に帯状疱疹を患ったり、コロナ禍が全く収束する気がしなかったり、北朝鮮から狂ったようにミサイルがバンバン発射されたり、ロシアのウクライナ侵攻も酷い状況だったりして、つい「正直言ってあんまり調子よくないです。仕事は普段通りなんですが」と本音を漏らしてしまいました…。
すると「そうだな、どこの国も政治がひどいし、2020年代は今のところ最悪の時代だよね。日本も頻繁にミサイルが飛んできて大変だろうけど、気をしっかり持つんだよ」と励ましてくれまして、何だか泣きそうになりました。
それで「今だったらちょっと時間があるけど、なにかインタビューしたいとかある?」とダナさんから聞いてきてくれたので、お言葉に甘えてBANGER!!!のコラム用に『ザリガニの鳴くところ』の音楽について語って頂いたというわけです。
だから今回のマイケルさんへのインタビューは、これまで以上に思い入れがある内容となりました。
Where the Crawdads Sing – Original Motion Picture Soundtrack (amazon)
Where the Crawdads Sing – Original Motion Picture Soundtrack (TOWER RECORDS)
『ザリガニの鳴くところ』(22)の音楽については本記事で全て語り尽くしてしまった感があるので、当方のブログでは補足というか自分の感想を書かせて頂きたいと思います。
今回のサントラを聴いて真っ先に思ったのは、「マイケルさん”らしさ”がすごくよく出ている音楽」だということでした。
マイケルさんの音楽の持ち味と言えば、「西洋的なオーケストラ音楽と古今東西の伝承音楽/フォーク・ミュージックの融合」ということになるでしょう。『スウィート ヒアアフター』(97)や『8mm』(99)、『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(12)などがその代表かと。
今回の場合、オーソドックスな弦楽オーケストラにノースカロライナ州のフォーク・ミュージックの要素をうまくブレンドさせていて、アメリカ国内の物語でありながら、どこか異国の世界のような雰囲気を醸し出したサウンドになっているのが印象的でした。木管楽器のソロ演奏が際立っているのも、マイケルさんの音楽の特徴と言えるかもしれません。
そこに今回は「ホラ貝(巻き貝)を吹いて演奏した音」が加わっているのが面白い。
ヒロインの「カイアのテーマ」も、スコアを少し聴いただけで聞き取れるぐらいメロディが際立っている感じではないかなと思います。
マイケルさんはインタビューで謙遜してたけど、ピアノだけでなくギターの演奏もお上手なんです(弟のジェフさんがあらゆるギター属の弦楽器を弾きこなす腕利きギタリストですからね)。
一部の楽曲でテイラー・スウィフトのテーマソングのフレーズをさりげなく忍び込ませているのも興味深い。マイケルさんが作曲した劇伴用のメロディとも親和性が高いのがポイントかなと思っております。
なお、以前マイケルさんにインタビューしたBANGER!!!コラムとそのサントラは、下記URLからご覧下さい。
ブラピ主演『マネーボール』の作曲家マイケル・ダナ独占インタビュー「明確な“勝利”を描かない映画は曲作りが難しい」https://www.banger.jp/movie/61375/
MONEYBALL – Original Motion Picture Soundtrack (amazon MP3)
『Merry Christmas! ~ロンドンに奇跡を起こした男~』 作曲家マイケル・ダナ 独占インタビュー https://www.banger.jp/movie/1945/
The Man Who Invented Christmas – Music From the Motion Picture (amazon MP3)