ランブリング・レコーズ様のご依頼で、日本ではテレビシリーズ3話とセットで劇場公開される『ひつじのショーン クリスマスの冒険』(21)の国内盤サントラに音楽解説を書かせて頂きました。
『ひつじのショーン ~クリスマスの冒険~』オリジナル・サウンドトラック(amazon)
『ひつじのショーン ~クリスマスの冒険~』オリジナル・サウンドトラック(TOWER RECORDS)
ワタクシは以前『映画ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム』(15)のサントラ盤に音楽解説を書かせて頂いたので、久々にこのシリーズのお仕事が出来て嬉しかったです。ちなみに前作『ひつじのショーン UFOフィーバー!』(19)は輸入盤こそリリースされたものの、国内盤サントラが発売されませんでした。ワタクシは輸入盤をちゃんと買っていましたが。
Farmageddon: A Shaun the Sheep Movie (TOWER RECORDS)
で、今回の『クリスマスの冒険』のスコア作曲を担当したのは、『UFOフィーバー!』に続いての登板となるトム・ハウ。ハリー・グレッグソン=ウィリアムズと共同で『アーリーマン ダグと仲間のキックオフ!』(18)の音楽を担当しています。
もっとメジャーどころで言えば、『ターザン:REBORN』(16)と『ワンダーウーマン』(17)で追加音楽の作曲を担当した方です。ルパートとハリーのグレッグソン=ウィリアムズ兄弟と縁がある人ということになりますね。
そんなわけで以前から個人的に興味のある映画音楽家さんだったし、『UFOフィーバー!』の音楽も聴きごたえがあったので、ハウさんにいろいろお話を聞いてみたくなって、サントラ盤の差込解説書用にインタビューを行った次第です。
ちょうどインタビューを申し込んだ時期にNHKで『ブリティッシュ・ベイクオフ』を放送していて(今はまた『ソーイング・ビー』の放送になったけど)、あの番組の音楽をハウさんが担当していたと聞いて「絶妙なタイミングでインタビューすることになったなぁ」と思ったものです。
さて今回のサントラ盤ですが、『クリスマスの冒険』自体が本国ではテレビスペシャルとして制作された30分の短編テレビ映画なので、サントラの収録時間も全15曲・33分と短めです。
しかし『バック・トゥ・ザ・ホーム』、『UFOフィーバー!』と同様、今回のサントラにもテーマソングがちゃんと収録されてます。だから「サントラ買ったけど本編で流れたあのクリスマスソングが入ってない!」ということはありません。ヴーラ・マリンガというソウル系シンガーが歌うテーマソングはサントラに入ってます。しかもフルバージョンで。なのでその点はご安心下さい。
ハウさんが作曲したスコア(劇伴)も、スレイベルやグロッケンシュピールを使ったクリスマス仕様のキラキラした音楽がメイン。アルバムをよく聴くとライトモティーフ的な技法も使われていて、『UFOフィーバー!』でも使われていたメロディが聴けたりもします。
ハウさんはアードマンのアニメで音楽を作曲するやり甲斐や苦労を丁寧に話してくれたので、是非差込解説書の拙稿をご覧頂きたいなと思います。ハウさんいい人でした。
映画本編も面白かったなぁ。いくらVFXが発達しようが、やっぱりストップモーション・アニメーションの魅力は変わらない。
『ひつじのショーン』の映画は毎回有名映画のパロディを入れてきますが、今回も分かり易いところで『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』(89)と『ホーム・アローン』(90)、マニアックなところでビッツァーと雪だるまが”Walking in the Air”をBGMに空を飛ぶという、アニメ『スノーマン』(82)のパロディを披露しています。一瞬なので要チェック。
話はやや脱線しますが、先日の『メカニック』シリーズのBANGER!!!コラムでブライス・ジェイコブスさんにインタビューして、今回ハウさんにインタビューして詳しく話を聞いた結果、「追加音楽の作曲」というものが具体的にどんな作業なのか、ほぼほぼ把握することが出来ました。「追加音楽(Additional Music)」とは言い得て妙な表現だな思いました。スケジュールに追われながら曲作りをする過程では、必要不可欠な仕事と言えるでしょう。
『ひつじのショーン ~クリスマスの冒険~』オリジナル・サウンドトラック
音楽:トム・ハウ
発売・販売元:Rambling RECORDS Inc.
品番:RBCP-3456
価格:2,750円(税込)
発売日:2022年12月02日