ハワード・ショアのレーベル、HOWE RECORDSから発売になった『セブン』(95)のスコア完全盤サントラに、ナイン・インチ・ネイルズの”Closer (Precursor)”とデヴィッド・ボウイの”The Hearts Filthy Lesson”を追加して拡張盤サントラを自作しました。
これはコロナ禍初期のステイホーム生活中に行った作業なのですが、ブログで書いていなかった気がするので書きます。
『セブン』のサントラは映画公開当時TVT Recordsからリリースになっていて、劇中使用曲にショアのスコアを2曲(うち1曲は組曲形式)収録した、いわゆるソングコンピ盤でした。
しかし誰もが聴きたかったであろうNINのオープニング曲と、「クレジットが上から降りてくる」という印象的なエンドクレジットで流れるボウイの曲は未収録でした。よくある権利関係の都合というやつだったのでしょう。
「確かにこの曲使われてたけどさ、自分が聴きたいのはそれじゃないんだ…。それにショアのスコアももっと聴きたいんだよ…」と思いながら何年も過ごしたものです。
でもボウイとNINの曲ぐらいは自分で入手出来るんじゃないかと思い、当時高校生だった自分はゴチャゴチャしたデザインのエンドクレジット(読みにくかった…)の情報をもとに、レコードショップでお目当ての曲を探しました。
David Bowie – Outside (The Nathan Adler Diaries: A Hyper Cycle) [Expanded Edition] (amazon music)
ボウイの曲はアルバム「アウトサイド」に収録されているのですぐ見つかりました。しかしそのすぐ隣に”The Hearts Filthy Lesson”のシングル盤が売られていたので、当時のワタクシはそちらを購入したのでした。
問題はNINの曲のほうでした。『セブン』のオープニングで使われた”Closer”はいわゆるリミックス版なので、NINのアルバムを買っても収録されているのは原曲なのでアレンジが違う。”Closer (Precursor)”の記載がある曲の入ったシングルなりEPなりリミックス盤なりを買わなければ、あの曲は手に入らないということを知りました(当時はまだインターネットとかやっていなかったので、情報入手に苦労したのです)。
Nine Inch Nails – Closer to God (amazon music)
しかし東京のレコ屋ならいざしらず、田舎(仙台)のレコ屋でNINの輸入盤のシングルを律儀に取り扱っている店は決して多くはなく、なかなか目当てのシングルは見つかりませんでした。そのうち「もういいや…」と諦めてしまい、そのまま長い月日が流れたのでした。結局、”Closer (Precursor)”を収録した「Closer to God」を買ったのは大学生の頃だったかな。社会人になって間もない頃だったかもしれませんが。
そして2016年にショアのレーベルから『セブン』のスコア完全盤が発売。このアルバムに”Closer (Precursor)”と”The Hearts Filthy Lesson”を追加して、「自分が聴きたかった『セブン』のサントラ盤」が完成したのでした。
ちなみに『セブン』のスコア完全盤サントラのCDはすでに廃盤ですが、デジタルアルバムは配信中の模様。
Seven: Complete Original Score (Collector’s Edition) – amazon
それにしてもこの映画のショアの音楽は重い。
地鳴りのような重低音を効かせた鬱スコア。
それまで聴いた中で最も重くて暗い劇伴だった。
『セブンは』当時仙台駅西口の日乃出の映画館で観たのですが、あの年季の入った劇場はスピーカーがボロだったのか、低音が効き過ぎて音割れしていたような記憶があります。
『ジョジョの奇妙な冒険』で「ゴゴゴゴゴ…」という擬音がよく登場しますが、あれを音楽で表現したような感じのスコアです。
スコア盤のライナーノーツによると、ショアは「”Apartment #604″という曲が最もエモーショナルな曲」といった旨のことを語っているのですが、すごく重い鬱スコアですよこれ…。
ショアは『羊たちの沈黙』(91)、『セブン』、『ザ・セル』(00)とサイコスリラー映画の音楽を作曲しましたが、自分の感覚だと『セブン』が最もヘヴィな音楽だと思います。だがそれがいい。