先日La-La Land Recordsから1,000枚限定でリリースになった『ギルバート・グレイプ』(93)のスコア盤を購入しました。
スコア作曲はアラン・パーカーとビョルン・イスファルト。当然のことながら映画監督のアラン・パーカーとは同姓同名の別人。ドノヴァンの”Hurdy Gurdy Man”やウォーカー・ブラザーズの”No Regrets”、デヴィッド・ボウイの”1984″などでギターを弾いているというセッションギタリスト兼作曲家です。
『ギルバート・グレイプ』は1990年代当時スターチャンネルか何かで観た時、エンドクレジットの音楽を聴いて「すごくいい曲だな」と思い、サントラ盤が出ていないかCDショップを探し回ったものです。
当時はインターネットもやっていなかったのでサントラリリース情報も限られており、映画雑誌のリリース情報を確認するかあるいは映画のエンドクレジットを確認するか、自分で実際に店頭を見て回るしか方法がなかったのですね。
結局サントラがリリースされていないと分かり、「こんないい曲なのに勿体ないな」とか、「限定盤でいいからいつかリリースされないかな」と思っておりました。
そうしたところ、映画製作から30周年の節目にようやくサントラが発売になったと。全世界1,000枚限定だから決してプレス枚数は多いとは言えないので、購入を検討されている方は早めのご決断を。
What’s Eating Gilbert Grape – Music from the Motion Picture (TOWER RECORDS)
2023年6月9日追記:ランブリング・レコーズさんが輸入盤の国内流通を手掛けるようなので情報追加しました。
ギルバート・グレイプ 全世界1000枚超限定盤サウンドトラック【輸入盤国内仕様】 – amazon
オリジナル・サウンドトラック ギルバート・グレイプ<限定盤> – TOWER RECORDS
『ギルバート・グレイプ』の劇伴は、ギターとピアノを中心にとしたアコースティックで小規模な感じのスコア。ブックレットによるとストリングスや木管楽器の音はサンプリング音源らしい。”End Credits”でエレクトリックギターによって奏でられるメインテーマの素朴な旋律がまた心にしみるのです。
ブックレットに本作の音楽がパーカーとイスファルトに決まるまでの過程が詳細に書かれてありました。
ハルストレムは『ワンス・アラウンド』(91)でジェームズ・ホーナーと仕事をしたけれども、ホーナーの才能は認めつつも、彼のハリウッド映画然とした劇伴にはあまり満足していなかったらしい。だから『ギルバート・グレイプ』の音楽はオーケストラを使わない、こぢんまりとした劇伴で行きたかった。
そこで『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』(85)のイスファルトにスコア作曲を依頼して、いいメインテーマを書いてもらったのだけれども、曲全体としてはスウェーディッシュ・フォークの要素が強すぎて、アメリカの田舎町を舞台にした作品にはしっくり来なかった。
そこでパーカーが雇われて、イスファルトの”素材”をもとに、よりアメリカ的な音楽になるようなアレンジを加えてスコアを作曲していったらしい。
“Music by Alan Parker and Bjorn Isfalt”となっているのはそういう過程を経た結果だったようです。
このスコア盤には本編で使用された劇伴が13曲・32分と、別バージョンの劇伴が8曲・19分、本編で使われなかったバージョンの劇伴が12曲・26分収録されています。アレンジの違いを聞き比べるのもまた一興かと。
そんなに劇伴が多く使われた映画ではないことは分かっていましたが、正味32分くらいだったんですね。
当時あてもなくサントラ盤を探し回っていた自分に出会えるなら、「今はまだ出てないけど、2023年になったらサントラが出るからな」と言ってあげたいです。そのぐらい手に入ったのが嬉しいサントラでした。