『イコライザー THE FINAL』(23)のスコアアルバムがデジタル版で発売になっていたので買ってみました。アルバムは全24曲で収録時間58分。
THE EQUALIZER 3 Original Motion Picture Soundtrack – amazon music
スコア作曲は前2作のハリー・グレッグソン=ウィリアムズからマーセロ・ザーヴォスに交代。
「何で今回はHGWじゃないの? シリーズ最終作なのに…」というお声もあるかと思いますが(自分もそう思った)、ザーヴォスのインタビュー記事などに目を通してみると、「アントワーン・フークア(監督)が”物語の舞台がアメリカ国内からイタリアに移ったので音楽もガラッと変えてみよう”と思ったからではないか」というようなことを言っていました。別にHGWの音楽が不満とか不仲になったというわけではないようです。
BROOKLYN’S FINEST Original Motion Picture Soundtrack – amazon music
ザーヴォスとフークアも秀作刑事ドラマ『クロッシング』(09)でタッグを組んで以来、『ギルティ』(21)、『The Day Sports Stood Still』(21)、『自由への道』(22)などの音楽を担当していて、デンゼル・ワシントン監督作『フェンス』(16)の音楽も担当しているので、フークア、デンゼルの二人とも納得の人選ではあったと思います。フークア的には濃密な人間描写が必要な作品ではザーヴォスを起用するという感じなのかな。『クロッシング』は以前サントラ盤に音楽解説を書かせて頂きましたし、その時ザーヴォスさんにインタビューしたこともありましたが、重厚かつ悲愴な音楽で大変よい感じでした。
EMANCIPATION Original Motion Picture Soundtrack – amazon music
FENCES Music from the Motion Picture – amazon music
『イコライザー THE FINAL』は物語の舞台がアメリカの都会から南イタリアの田舎町に移ったので、HGWの音楽だとスタイリッシュ過ぎるかもしれないという理由もあったかもしれません。
何度か『イコライザー THE FINAL』のスコアアルバムを聴いてみましたが、前作よりもさらにヘヴィでシブ目の劇伴になった印象。
普通、アクション映画の音楽というのは続編が出る度に派手になっていくものですが、このシリーズは逆にどんどんシブくなっていくというのが珍しい。もっとも、第1作の『イコライザー』(14)の音楽も抑制の利いた劇伴ではありましたが。もともとシブ目の音楽だったため、作曲家が代わっても音楽のトーンがガラッと変わったという感じはありませんでした。
今回は『クロッシング』のような重暗い音楽に近いイメージですが、そこに「マッコールさんを怒らせたらタダでは済まないぞ」という不吉な雰囲気を持たせているような印象を受けました。生オーケストラの割合も前2作より大きいではないかと思います。3音のフレーズを反復させるメインテーマ(?)も自然に耳に馴染んでくる感じ。
作曲家が代わったので、当然HGW作曲の「マッコールさん 仕置のテーマ」は使われていません。ザーヴォス流の「仕置のテーマ」に相当するのはアルバム2曲目の”Nine Seconds”や”Love, Disorderly”なのかな。ちなみにあの叫び声のような不気味な音はシンセで作ったそうです(インタビューで言ってました)。
当方、コロナ禍以降映画館には極力行かないようにしているので、ザーヴォスの劇伴と映像との一体感を楽しめるのはまだ先になりそうです。
これまで何度かブログで書きましたが、20数年前に映画館でインフルエンザをうつされて3~4週間ほど死にそうなくらい苦しんだ経験がトラウマになっているので、感染症がはやっている間は「大勢の人が集まる」「密閉された空間」に「長時間滞在する」のを可能な限り避けているのです…。
ま、ブルーレイ/DVDリリースや配信が始まったらじっくり観たいと思います。