ザーヴォスとフークアも秀作刑事ドラマ『クロッシング』(09)でタッグを組んで以来、『ギルティ』(21)、『The Day Sports Stood Still』(21)、『自由への道』(22)などの音楽を担当していて、デンゼル・ワシントン監督作『フェンス』(16)の音楽も担当しているので、フークア、デンゼルの二人とも納得の人選ではあったと思います。フークア的には濃密な人間描写が必要な作品ではザーヴォスを起用するという感じなのかな。『クロッシング』は以前サントラ盤に音楽解説を書かせて頂きましたし、その時ザーヴォスさんにインタビューしたこともありましたが、重厚かつ悲愴な音楽で大変よい感じでした。
『イコライザー THE FINAL』は物語の舞台がアメリカの都会から南イタリアの田舎町に移ったので、HGWの音楽だとスタイリッシュ過ぎるかもしれないという理由もあったかもしれません。
何度か『イコライザー THE FINAL』のスコアアルバムを聴いてみましたが、前作よりもさらにヘヴィでシブ目の劇伴になった印象。 普通、アクション映画の音楽というのは続編が出る度に派手になっていくものですが、このシリーズは逆にどんどんシブくなっていくというのが珍しい。もっとも、第1作の『イコライザー』(14)の音楽も抑制の利いた劇伴ではありましたが。もともとシブ目の音楽だったため、作曲家が代わっても音楽のトーンがガラッと変わったという感じはありませんでした。