『スニーカーズ』2枚組拡張盤サントラを購入。ジェームズ・ホーナー流ミニマル・ミュージックを味わう。

La-La Land Recordsから発売になった『スニーカーズ』(92)の2枚組拡張盤サントラを買いました。今年続々と拡張盤サントラが発売されたジェームズ・ホーナー作品のひとつです。

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『スニーカーズ』の頃の自分はまだ中学生。パソコン雑誌「ログイン」に幸宏さんのインタビュー記事(アルバム「Heart of Hurt」のリリース告知とWOWOWの番組「アトムの気持ち」の宣伝を兼ねたもの)が載っていたので、当時パソコン音痴だったくせに雑誌を買ってきて、そのインタビュー記事の裏のページを見たら『スニーカーズ』が紹介されていたのでした。

「なんでそんなこと細かく憶えてるんだ」と言われそうですが、実はそのインタビュー記事のページを切り抜いて保存しているからです

当時の自分は(今もですが)パソコンにあまり詳しくなかったので、「この映画を観ても面白さがよく分からないんじゃないかな」と思って鑑賞を見送ってしまいました。ちなみにログインのライターさんが書いたレビューによると、

「主人公側の貧乏軍団はIBMのコンパチでただのDOSだし、悪いヤツのほうは金持ちだからかMS-Windowsだもんね。コレって絶対わざと差別化してるよね。監督が結構コンピューターのことを分かって使っている気がしたなあ」

…だそうです。当時の自分にはちんぷんかんぷんでしたが。

で、時は流れて高校生の頃に衛星の映画チャンネルで『スニーカーズ』を放送していたので観てみたら、コンピューターに詳しくなくても充分楽しめる内容だったことを知ったのでした。
劇中、ロバート・レッドフォードがドアを蹴破って開けたシーンを観て「あ、そういう映画だったんだ」と思ったものです。スリラーと言いつつ結構コミカルなシーンがある。
ハッカーがハイテクを使いまくって難関突破するタイプの映画というよりも、ローテクな手段もいろいろ使って相手を嵌める『スパイ大作戦』系の内容だったんだなと。

そんな感じで遅ればせながら『スニーカーズ』の面白さに気づいたわけですが、その頃にはサントラ盤を買おうと思っても店頭ではすっかり見かけなくなっていたのでした。

だから今回の拡張盤は予約注文して買いました。
今回サントラを買い逃したら、もう次はないだろうと思ったので。
長年購入を諦めていたサントラが手に入って、喜びもひとしおです。

サントラはDisc 1がホーナーのスコアを完全収録して約73分、Disc 2に通常盤サントラの内容をまるごと収録して、3曲のスコアの別バージョンを追加収録して約48分という内容。

ブランフォード・マルサリスが参加しているので「あ、ジャズスコアなのね」と思ってしまいがちですが、どちらかというと同一音型の反復を多用したミニマル・ミュージック系のスコアという印象です(あくまで個人的見解)。

気になったのでブックレットのライナーノーツ(全部英語)を読んでみましたが、やはりというか何と言うか、監督のフィル・アルデン・ロビンソンはフィリップ・グラスやスティーブ・ライヒ、ジョン・アダムス、アルヴォ・ペルトの楽曲をテンプトラックに用いていたそうで、ホーナーもそんな監督の意向を汲んだスコアを作曲したとのこと。

マルサリスのソプラノサックス、ソプラノ歌手のヴォカリーズ、リズミカルなピアノ/キーボードの反復音が印象的なスコアです。ハイテクスリラーだからといって、シンセを多用した音楽にならないところが味わい深い。奥行きのあるオーケストラの聞かせ方もさすがホーナーといった感じ。
『スニーカーズ』はある意味(ロバート・レッドフォードとベン・キングズレーのキャラの)友情崩壊劇だし、スリラー映画でもあるのだけれども、音楽がそれほどダークで重い感じではないというのが独特な雰囲気があって面白いですね。

愛聴盤になりそうです。

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