Varèse Sarabandeから2,000枚限定でリリースになった『DOOM』(05)のデラックス・エディション版サントラを買いました。スコア作曲はクリント・マンセル。
DOOM: The Deluxe Edition Soundtrack Album – TOWER RECORDS
デジタル版はこちら↓
Doom (Original Motion Picture Soundtrack / Deluxe Edition) – amazon music
自分は映画公開当時通常盤サントラを買いましたが、こちらも収録時間が60分くらいあって、スコアの選曲もツボを押さえていて満足度の高い内容でした。
デジタル版の通常版サントラです↓
Doom (Original Motion Picture Soundtrack) – amazon music
今回のデラックス・エディションはCD2枚組で、Disc1が収録時間56分、Disc2が44分くらい。
通常盤と同じくナイン・インチ・ネイルズの”You Know What You Are”(Clint Mansell Remix)もちゃんと収録してます。
デラックス・エディションであり「スコア完全盤」であるとも言えるでしょう。
マンセルといえば『π』(98)や『レクイエム・フォー・ドリーム』(00)のような、作家性の強い映画の音楽を好んで手掛けることが多い作曲家というイメージを持っていたので、『DOOM』やその前年の『サハラ 死の砂漠を脱出せよ』(04)のような作品の音楽を手掛けたのが当時すごく意外に思えたものです。
しかし以前書いた『π』のサントラに関するブログでも言及したとおり、マンセルはダーレン・アロノフスキーと「最近の映画音楽はつまらない」「ジョン・カーペンターの『ハロウィン』(78)と『要塞警察』(76)の音楽は最高だ」と語り合って意気投合したということなので、『DOOM』のような映画にも興味があったのだと後年分かりました。
したがってこの『DOOM』は、”やっつけ仕事”ではないマンセル渾身のSFアクションホラー音楽が聴ける作品ということになるわけです。
本作のスコアをひと言で説明するならば、「オーケストラ+ポップ・ウィル・イート・イットセルフ系のサウンド」といったところでしょうか。オーケストラに電子音をちりばめつつ、ロックなドラムとザクザクしたエレクトリックギターを鳴らしまくる感じ。
ちなみにギターでクリス・シュレイヤー、ドラムでアンドリュー・クビシェフスキーがレコーディングに参加。彼らはナイン・インチ・ネイルズとも縁のあるバンド「Prick」のメンバーです。
本作最大の見どころ、映画終盤の一人称視点アクションシーンの音楽”First Person Shooter”を作曲したとき、『DOOM』の音楽の方向性のようなものが見えてきたのだそうです(ブックレットのインタビューでのマンセルのコメントより)。ちなみにこの”First Person Shooter”は、デラックス・エディション版サントラではDisc2の10曲目に収録されていますが、通常盤でも聴けます。
メロディを楽しむタイプのサントラではありませんが(…と言いつつ、よく聴きこむと特徴的なモティーフというかフレーズも結構あります)、ジョン・カーペンターの『エスケープ・フロム・LA』(96)や『ゴースト・オブ・マーズ』(01)の音楽が好きな方ならハマるアルバムではないかと。
ところでこちらのデラックス・エディション版サントラ、読み物(ブックレット)がなかなか充実しておりまして、音楽解説もさることながら、映画製作の裏話も読み応えがありました。
しかもわざわざポートマン役を演じた個性派俳優リチャード・ブレイクに新規インタビューを実施しているという力の入れっぷり。
そのブレイクさんも単に撮影秘話や自分の役についてだけではなく、マンセルの音楽についてもコメントしていて、「ブレイクさんいい人だな」と思いました。
映画版『DOOM』は公開当時こそ期待したほどの興行成績を残せなかったものの、後年ジワジワとカルト的人気を博していったとのことで、何だかそれも分かるような気がします。