幸宏さんのエッセイ集「犬の生活」と「ヒトデの休日」を文庫本で読み返したある夏の日。

先月の話ですが、幸宏さんのエッセイ集「犬の生活」と「ヒトデの休日」をカップリングした新装版の文庫本が発売になるということで、つい買ってしまいました。

自分は1989年/1992年にJICC出版から発売になった単行本を持っているから、わざわざ文庫本(今回は河出文庫刊)を買う必要はないのですが、今回新たに追加された細野晴臣さんの解説が気になって購入した次第です。

文庫「犬の生活/ヒトデの休日」 – 高橋幸宏 (amazon)
文庫「犬の生活/ヒトデの休日」 – 高橋幸宏 (TOWER RECORDS)

で、届いた本を早速読んでみたところ「アレ?」と思うところがひとつありました。
「ヒトデの休日」に載っていた幸宏さんと実兄の高橋信之氏、山本耀司氏、椎名誠氏、信藤三雄氏、田辺年男氏によるほろ酔い座談会が、今回の文庫本では丸ごとカットされていたのです。

メンツがメンツだけに権利関係とかの問題かなと最初は思ったものの、「座談会でどんなこと喋ってたっけ…」と思い出して(&旧本を読み直して)みたところ、これは権利関係の都合と言うよりも、どちらかというと近年の社会規範的に「ちょっとマズいこと(簡単に言えばケンカの武勇伝)」をファッションデザイナーの某氏やエッセイストの某氏が酔っ払って喋っていたからではないかという気がしました。「編集部註:全員酔ってます」とのことなので、どこまで本当の話なのかも分かりませんが。

「犬の生活」のほうは幸宏さんの対談(対話)も全部載ってました。
しかしいまだにこの対話の相手(聞き手)が誰なのか分からない。
もしかしたら「対話」という形式を取って、質疑応答を全部一人でなさっていたのではないかという気もする。1998年のライブのツアーパンフでもそんな企画ページがあったし(「80年代の幸宏さん」と「90年代後半の幸宏さん」が対談しているという構成の対談)。

いま読み返してみても、「ヒトデの休日」よりも「犬の生活」のほうが好きですね。
文体やエッセイで語られている内容からご本人の”人となり”が伝わってくる。

「ヒトデの休日」は映画『ガクの冒険』(90)のスコア作曲の仕事で椎名誠氏とお付き合いがあった頃だからなのか、椎名誠のエッセイ調の文体や表現になっているので、「犬の生活」の文体からだいぶ印象が変わっている感じ。
フランスでのPV撮影の顛末記とか、マネージャーS氏とのやり取りとか、書いている内容もどこまで本当なのか分からない(かなり話を”盛って”書いているのではないかとすら思う)。ある意味では椎名誠のパロディみたいなエッセイと言えるかもしれません。そういった点でも、「犬の生活」のほうが文体にご本人のパーソナリティが感じられる。

ちなみに細野さんの「解説」は、質問者の文書によるアンケートに答えたものでした。

果たしてそれを「解説」と表現してよいものか、とも思いますが、幸宏さんが「犬の生活」の中で書いていた内容を裏付けるような回答をしているので、まあ「解説」といえば解説なのかなという気がします。
細野さんの最後の一文から、幸宏さんに先立たれた寂しさが伝わってきて、何だか非常にやりきれない気分になりました。教授ももういませんしね…。

そのうち幸宏さんの書き下ろし釣り小説「キャッチ&リリース」も文庫本化されるのでしょうか。

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