『スペースバンパイア』の拡張盤サントラを買ったので、その勢いでブルーレイも買ってしまったお話。

先日、遅まきながらIntradaから発売になった『スペースバンパイア』(85)の拡張盤サントラを買いました。CD2枚組のヘンリー・マンシーニ版と、マイケル・ケイメン版の2種類。

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【輸入盤国内流通仕様】オリジナル・サウンドトラック スペースバンパイア(ヘンリー・マンシーニ版) – TOWER RECORDS

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LIFEFORCE / ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK (Michael Kamen) – TOWER RECORDS

自分は『スペースバンパイア』初心者なので「なぜ2種類サントラが出ているのか?」と思いましたが、簡単に言えば「編集の段階で映画を短くしたらマンシーニの音楽と尺が合わなくなり、ケイメンに代替スコアを書かせた」ということです。
ブックレットのライナーノーツによると当初この映画は2時間以上あったものの、試写で「展開がスロー」という意見が出て、テンポをよくするために2時間以内に収めたらしい。「ああ、それで映像をカットした部分はマンシーニの曲と尺が合わなくなったのね」と納得した次第です。

そういった経緯を知ると、映画本編でマンシーニの音楽とケイメンの音楽がどんな感じで混ざり合っているのか気になってきて、ちょうどキングレコードの「死ぬまでにこれは観ろ!! 2024」のラインナップに加わっていたブルーレイも買ってしまったのでした。

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スペースバンパイア [Blu-ray] /「死ぬまでにこれは観ろ!! 2024」- TOWER RECORDS

で、いざ映画本編を観てみたらケイメンの音楽が一向に流れてこない。
「あれ? おかしいな…」と思って調べてみたところ、今回「死ぬまでにこれは観ろ!! 2024」でリリースになった『スペースバンパイア』は116分のディレクターズカット版で、当時は101分のアメリカ公開版(劇場公開版)というものがあったらしい。たぶんケイメンが作曲した代替スコアはそのアメリカ公開版で聴けるということなのでしょう。

実際に両方のバージョンを鑑賞して、しっかり確認した上でブログを書きたかったのですが、現在101分の劇場公開版が観られるブルーレイは高値がついてしまっており、気軽に買えるような代物ではなくなってしまったため、曲の確認ができません…。ま、たぶんそういうことなのだろうと考えることにします。

一応、サントラ盤のトラックリストと照らし合わせて曲が流れる場面をチェックしながら本編を観ていったところ、今回の116分版のブルーレイでは全編マンシーニの音楽が流れていたような気がします。

前述の再編集で最も影響が出たのは、チャーチル号のクルーがエイリアンの宇宙船を発見して内部探索に出る序盤のシーン。
差し込み解説書によると、マンシーニは一連のシークエンスを観て「これは”スペース・バレエ”だ」と感銘を受け、バレエ的な動きを意識した曲を書いたそうです。
しかし皮肉なことに、試写ではこのシーンが「スローすぎる」と不評で、監督のトビー・フーパーも断腸の思いで尺を短くせざるを得なくなったとのこと。

サントラ盤のトラックリストを見ると、まずマンシーニ版はメインタイトルから船内探索のシーンまで合計約20分の曲を書いているのですが、ケイメン版はの曲は合計約11分くらいになっていました。この点からも探索シーンをだいぶカットしたことが窺えます。

音楽的な違いとしては、マンシーニが前述のように「スペース・バレエ」を意識した優雅な怪奇映画音楽を作曲している一方、ケイメンはケレン味の効いたSFホラー音楽を作曲しているのが興味深い。ホラー映画を好んで観るような、若いアメリカ人観客を意識した曲調にしたのかもしれません。

あとは女バンパイア(マチルダ・メイ)に精気を吸い取られたゾンビ警備員の解剖&復活シーンや、アームストロング院長(パトリック・スチュワート)の拘束&尋問シーンの音楽も双方でかなり解釈が異なる。
全体的にケイメンのスコアのほうが「テンション高めのホラー音楽」という感じ。当方の気のせいか分かりませんが、『イベント・ホライゾン』(97)で本作のケイメンの追加音楽に似た曲があったような…。

巷の評判通り、マンシーニが作曲したメインテーマの格好良さは群を抜いてます。
終盤のヘリコプターのアクションシーンでメインテーマの旋律が聞こえてきますが、おそらくオープニングタイトル曲を再利用したものと考えられます。

ちなみにマンシーニは「スペース・バレエ」を意識して作った曲が劇場公開版でボツになってショックだった模様。あのシーンに感銘を受けて本作への参加を決めたというぐらいだから、相当力を入れてスコアを作曲したのでしょう。スコアを差し替えられたら落ち込むのも分かります。

そんなわけで今回の116分版のブルーレイではマンシーニのスコアが聴けますので、自分のようなごく標準的な『スペースバンパイア』視聴者はCD2枚組のマンシーニ版サントラだけ買えばOKかと思います。

1980年代当時劇場公開になった101分バージョンに並々ならぬ思い入れがある方や、『スペースバンパイア』をとことん満喫したい求道者な方は、ケイメン版サントラも併せて買って頂くのもよいかもしれません。自分は『スペースバンパイア』求道者でもないのになぜか両方買ってしまいましたが。

あ、自分はマイケル・ケイメンの音楽を愛好する”ケイメニスト”だからですね…。

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