先頃Varese Sarabande CD Clubから『ブレイド』(98)と『ブレイド2』(02)のデラックス版(拡張版)スコアアルバム発売のアナウンスがあり、即予約注文しました。
以前『ブレイド』スコア盤のLPレコードが発売になったとき「違うよ…自分が欲しいのはマーク・アイシャムの劇伴を完全収録した拡張版スコアアルバムなんだよ…」と激しく落胆したものですが、この度遂に当方の切なる願いが聞き届けられたのでありました。
Blade (Original Motion Picture Score / Deluxe Edition) – amazon music
Blade (Original Motion Picture Score / Deluxe Edition) – TOWER RECORDS
Blade (Original Motion Picture Score) – amazon music
なぜ当方がこんなにも『ブレイド』の拡張版スコアアルバムの発売を望んでいたかというと、劇場公開当時リリースされたスコア盤は収録時間が30分程度しかなかったから。「いくら劇中で歌曲を流していたとはいえ、劇伴がたった30分ということはないでしょ…」と思いました。
つまりスコア盤にはアイシャムの劇伴をほんの一部しか収録していないのではないかと。この時期のVarese盤は収録時間が30分前後のものも多かったですし。
それでは今回のデラックス・エディションのスコア盤はどうなのかと申しますと、収録時間が72分近くありました。収録曲は46曲。通常版スコアアルバムの倍以上の収録時間と6倍近い収録曲数です。
ああ、買ってよかった…。
収録曲が増えたおかげで、通常版では分かりにくかったテーマ曲のバリエーションも輪郭がくっきりした気がします。「血の神(The Blood God)のテーマ」が特に分かり易くなったかなと。
ウェズリー・スナイプスがヒップホップを、監督のスティーブン・ノリントンがエレクトロニカを好んでこの映画のサウンドトラックに持ち込んだので、アイシャムとしては双方の音楽ジャンルとマッチするような劇伴を書く必要があったらしい。重低音を効かせた「オーケストラ+シンセ+各種打楽器」による劇伴は、ヒップホップ曲ともテクノ曲とも調和がとれていたと思います。
Blade II (Original Motion Picture Score / Deluxe Edition) – amazon music
Blade II (Original Motion Picture Score / Deluxe Edition) – TOWER RECORDS
そして監督がノリントンからギレルモ・デル・トロに交代した第2作。
Blade II (Original Motion Picture Score) – amazon music
こちらも通常版スコアアルバムは収録時間が30分程度でしたが、今回のデラックス・エディションではCD2枚組で収録時間90分の収録曲数38曲という大ボリュームになっていました。マルコ・ベルトラミさんの音楽をこよなく愛する”マルコホリック”の当方も大満足。
マルコさんとデル・トロ監督のコラボは『ミミック』(97)に続いてこれが2度目。
両者の出会いについては、BANGER!!!の『スケアリーストーリーズ』(19)のコラムでマルコさんにインタビューしたとき話してもらったのでこちらをご参照下さい。
デル・トロら巨匠を支える作曲家 マルコ・ベルトラミ独占インタビュー! 怪物を音楽的に描き分けた『スケアリーストーリーズ 怖い本』 | https://www.banger.jp/movie/64872/
全編ストイックなトーンのサウンドだった第1作に比べると、『ブレイド2』のマルコさんの劇伴はやや活劇調にシフトした感じ。
この時期のマルコさんのホラー/スリラー系劇伴がこんな感じだったからというのもありますが、本作では日本のアニメ/マンガが大好きなデル・トロ監督の意向を汲んで「和テイスト」を積極的に取り入れたという理由もあります。例えばパーカッションに和太鼓を使ったり、尺八や琴をアクセントに使ったりとか。
ケレン味を効かせたマルコさんの劇伴は、刀を振り回してヴァンパイアをバッサバッサと斬りまくるブレイドの「キッチュな殺陣」と大変マッチしておりました。編曲もなかなか凝っていて面白いです。
ちなみに『ブレイド2』のメインタイトル曲にはダニー・セイバーも一枚噛んでおり、マルコさんはセイバーとのコラボを”It was fun.”とコメントしておりました。カーター・バーウェルは『ジャッカル』(97)で自分の曲を(無断で)セイバーにいじられて憤慨していましたが、このあたりの反応の違いも興味深いなと思ったり。
Vareseの限定盤はお値段が高いのが難ですが、この2枚に関してはそれでも手に入れられてよかったなと思いました。
そういえば『ブレイド2』は歌曲も「ヒップホップ系ミュージシャンとエレクトロニカ系ミュージシャンにタッグを組ませて曲を作る」という異色コラボを展開してサウンドが派手になっていたっけ。