ホステージ

hostage

先日、日曜洋画劇場で『ホステージ』(05)を放送していたのでずっと観ていたのですが、いやー久々に「濃い」吹替えキャストだったので面白かったです。

主な配役は以下の通り。

ジェフ・タリー/ブルース・ウィリス(樋浦勉)
ウォルター・スミス/ケヴィン・ポラック(堀内賢雄)
マース/ベン・フォスター(小山力也)
デニス・ケリー/ジョナサン・タッカー(神奈延年)
ケビン・ケリー/マーシャル・オールマン(浪川大輔)
トミー・スミス/ジミー・ベネット(竹内順子)
ジェニファー・スミス/ミシェル・ホーン(片岡身江)
ジェーン・タリー/セレナ・スコット・トーマス(安藤麻吹)
謎の男(腕時計の男)/キム・コーツ(大塚芳忠)

*敬称略

吹替えファンなら何と言っても見逃せないのが、タリーに捜査協力するウィル・ベックラー役で登場したロバート・ネッパー。チョイ役なのにも関わらず、『プリズン・ブレイク』のティーバッグ同様、若本規夫氏がキャスティングされてました。「そういやこの映画、ネッパーが脇役で出てたっけ。チョイ役でも若本さんが声をアテてたらすごいよなぁ」などと放送前にウチの親と冗談半分に話していたのですが、まさか本当にやってくれるとは。何て粋なキャスティングなんでしょう。

思えばこの映画、ティーバッグにLJ(マーシャル・オールマン)、マホーンを嫌うリチャード・サリンズ捜査官を演じたキム・コーツ、と『プリズン・ブレイク』のキャストがメインの役で3人出てますね。ある意味、プリズン・ブレイク・ファン必見の作品。

ベン・フォスターはこういう「話が通じなさそうなイッちゃった悪役」を演じると実に怖い。『3時10分、決断のとき』(07)のチャーリー・プリンス役も相当キてましたが、この人の場合、無口なのが余計怖い。小山力也氏が抜擢されたのも、「ただならぬ雰囲気を漂わせたチンピラ」というキャラを強調させたかったためと思われます。こちらもナイス人選でした。

それにしても気合いの入った声優諸氏のキャスティングだったなぁ。今度深夜枠か何かでこの映画の再放送があったら録画しなければ。

ちなみに『ホステージ』の監督は、ジョン・カーペンターの『要塞警察』にオマージュを捧げたフランス製アクション映画『スズメバチ』(02)を撮ったフローラン・シリ。今回も籠城モノだから、限定空間アクション・スリラーの演出の腕前を買われて抜擢されたと思われます。製作を兼任したウィリス(だから自分の娘が出演してるんだろうな・・・)の人選らしいですが、結構目の付け所がいいじゃないですか。

全編通して話が思いっきり暗いのと、情け容赦ないバイオレンス描写、襲ってくる敵の正体が分からない点、何となく無常感の残るエンディングなどが『スズメバチ』と共通するものがあります。未見の方は『スズメバチ』も是非ご覧下さい。なかなか良くできた映画ですので。

・・・というわけで、音楽も『スズメバチ』に続いてアレクサンドル・デプラが担当。ハリウッドの映画音楽家だと、シンセを多用したアグレッシブなスコアをつける事が多そうな題材ですが、デプラの音楽は生オーケストラ主体のスコアでした。しかもヒロイックな主題というより、悲壮感漂う感じのメインテーマ。主題曲でボーイソプラノが聞こえてくるのですが、ブックレットに”Vocal: Antonia Desplat”とクレジットされているので、どうも歌っているのはデプラの息子さんらしい。

重く、静かに燃える。こういうシリアスな音楽も重厚でいいではありませんか。