シャーロック・ホームズ(音楽について)

Sherlock_Holmes

前回の続きで、本日は『シャーロック・ホームズ』の音楽について。

・・・とは言っても、サントラ盤のライナーノーツで結構あれやこれやと書いてしまったし、ここで同じ事を書いたら「じゃあ国内盤買わなくていいや」という事になりますので、ライナーノーツとは違う事を書いてみたいと思います。


何があるかな・・・?あ、そうそう。まず先日ブログに書かせて頂いた通り、ハンス・ジマーはこの映画で久々にアカデミー賞の最優秀作曲賞にノミネートされました。受賞したのは『カールじいさんの空飛ぶ家』のマイケル・ジアッキノでしたが、ノミネートだけでも栄誉な事です。いや実にめでたい。

で、ジマーがこの映画の音楽を担当すると聞いて、てっきり『ザ・ロック』(96)とか『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ系の”ジマー節”で行くのかなと思ったら、これまでとは趣の異なる音楽を披露しておりまして、かなり驚かされました。初めてCDを聞いた時には「ジマーって、こういう音楽を書く人だったっけ?」と思ってしまったほどで。

でも、これがまたいいんだな。テーマ曲”Discombobulate”のズッチャッ、ズッチャッとリズムを刻むキレのあるストリングスとか、ツィンバロンの神秘的な響きとか、何度か聴いていると思わず口ずさみたくなるキャッチーなメロディーとか、CDを聞いたら病みつきになる事うけあいです。実際、ライナーノーツ原稿を書くために何度も何度もサントラ盤を聴いていたら、メロディーが頭から離れなくなりました。うーん、譜面が欲しいぜ。

映画を見終わった後、衝動的にサントラ盤を買いたくなるような魅力を持ったメインテーマ曲に仕上がってます。ダウニーJr.版ホームズのエキセントリックなキャラクターそのまんまの音、という感じ。

何でもジマーとリッチーは、今回「デジタル・サウンドは極力使わず、生楽器を積極的に使う」というコンセプトで曲作りを進めていく事にしたとか。ヴァイオリンやヴィオラ、アコーディオンなど様々な楽器のソリストがレコーディングに多数参加しているのですが、彼らの演奏も個性的で聞き応え十分。特筆すべきは”Experibass”なる創作楽器を操るディエゴ・ストッコ。この楽器がまたスゴイ。詳しくは下記の動画を見て下さい。

どうですかこのイカレた・・・じゃない、イカした楽器!このExperibassがスコアで迫力ある音を鳴らしているのです。この動画を見てからサントラを聴けば、どのパートでExperibassが使われているか分かるはず。

ソリストの顔ぶれについては、日本版サウンドトラックのライナーノーツにざっと紹介させて頂いたので、興味のある方は3月2日にソニー・ミュージックジャパンから発売になった国内盤を是非ぜひお買い求め下さいませ。なかなか面白いメンツがレコーディングに参加してます。

ハンス・ジマー、御年53歳にして新境地開拓です。

『シャーロック・ホームズ』オリジナル・サウンドトラック
音楽:ハンス・ジマー (追加音楽:ローン・バルフ)
品番:SICP-2596
定価:2,520円