というわけで、本日は『プリンス・オブ・ペルシャ』の音楽について。作曲はハリー・グレッグソン=ウィリアムズ(以下HGW)。
実はこの映画のサントラ、当初はダウンロードのみのリリースになる予定でした。しかしある大物アーティストが主題歌を担当するらしい、という事になり急遽CDでのリリースが決まったのだそうです。ちなみにその大物というのはアラニス・モリセットだったわけですが。
HGWといえば、最近は『サブウェイ123 激突』(09)がiTunesとアメリカのamazonのCD-R盤のみのリリース、『デジャヴ』(06)に至っては日本のiTunesでアルバムが買えない、というファンにとって泣きたくなるような状況が続いていたのですが(『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(09)はCDリリースでしたっけ)、何とか今回はCDリリースに漕ぎ着ける事が出来ました。ある意味、アラニスさまさまです。
サントラ・ファンには「HGWのバキバキのデジタル系スコア(トニー・スコット作品で鳴らしているようなあの音)が苦手」という人が結構多いようなのですが、今回の『ペルシャ』は77人編成のオーケストラと32名のコーラス隊を使ったシンフォニックなスコアなので、『ナルニア』シリーズのようなスコアが好きな方は気に入って頂けるかも。
今回は中東が舞台ということで、アラビックな旋律や楽器(ウード等)も使われていますが、本格的な中近東の音楽を聞かせるというより、ポップス感覚で聞かせている印象。映画が100%エンタメ系の内容なので、音楽もこういうノリで全然OK。テーマ曲も悠久のペルシャの空気を感じさせるメロディーで、なかなかいい感じです。
一方、”Vision of Death”や”Hassansin Attack”などではデジタル系HGWサウンドが炸裂しまして、アラビック・テクノを聞かせていたのが何だか面白かった。「時代劇にテクノぉ?」と思われるかもしれませんが、本編を観ても全然違和感がなかったです。ま、そこはブラッカイマー映画ですから。「ノリがよければそれでよし」という感じ。
最近HGWのアルバムがCD化されない状況が続いていたので、今回のCDリリースは本当に嬉しかった。この調子で『Unstoppable』もちゃんとCDでサントラをリリースして頂きたいと思います。
ちなみにアラニスの主題歌”I Remain”は、HGWのテーマ曲に詞を乗せて歌ったものではありませんでした。個人的にはHGWの”Prince of Persia”のテーマに詞をつけて歌って頂きたかったのですが。
サントラ盤はエイベックスより発売中。国内盤は”I Remain”の歌詞対訳が載ってます。
『プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂』オリジナル・サウンドトラック
音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
品番:AVCW-12790
定価:2,600円