というわけで、前回のつづきで『クロッシング』に関するあれやこれやを。
今日はサントラ盤の発売も近いので音楽について。
アントワン・フークア作品の音楽と言えば、
『リプレイスメント・キラー』(98):ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
『ワイルド・チェイス』(00):マーク・マンシーナ
『トレーニング デイ』(01):マーク・マンシーナ
『ティアーズ・オブ・ザ・サン』(03):ハンス・ジマー
『キング・アーサー』(04):ハンス・ジマー
『ザ・シューター/極大射程』(07):マーク・マンシーナ
・・・と、実に分かり易い作曲家の選び方をしています。この感じで行けば、今回の『クロッシング』もマンシーナか、あるいは他のRC系コンポーザーに落ち着くだろうと予想するわけですが、実際に白羽の矢が立ったのは『グッド・シェパード』(06)、『闇の列車、光の旅』(09)のマーセロ・ザーヴォスという意外な人選。「え?マンシーナじゃないの?」と、まずここで驚く。
で、次に「なぜザーヴォスが?」という疑問が浮かんでくるわけですが、これはプロデューサーの意向とかマンシーナのスケジュールの都合とかではなく、フークアたっての希望だそうです。そこに至った経緯について書きたい所なのですが、詳しくは国内盤のライナーを読んで頂ければと思います。ザーヴォスさん本人から他にも貴重な話をいろいろ聞けましたので、買って損はしませんぜ、と。もしかしたらDVD特典とかの音声解説でも、ここまで音楽について喋らないかもしれないレアな情報も満載です(大げさ?)。
そして肝心のオリジナル・スコアはと申しますと、重たい感じのストリングスに、これまた重たいビートが絡むかなりシブ目の出来。とはいえメインテーマ曲は結構しっかりしてまして、印象的なメロディーを聴かせてくれてます。強いていうなら、教授の『スネーク・アイズ』(98)のテーマ曲を彷彿とさせる感じかな。あれをもっと重くして男臭くした感じ。CD1曲目の”Brooklyn’s Finest”が事実上のメインテーマで、他のスコアでもこのメロディーが何度も登場します。フークア映画に顕著な「この世に”正義は勝つ”みたいなおとぎ話はねぇんだ」というメッセージをしっかり音楽で表現している印象。
最初にアルバムを聴いた時は「ちょっと地味かな?」と思ったのですが、聴けば聴くほど味が出るというか、メインテーマの展開のさせ方とか生音主体のアレンジとか(リズムはきちんとドラマーが叩いている様子)、非常に丁寧に作り込んだスコアだという事が分かります。マーセロ・ザーヴォスはもっと評価されていい作曲家だと思うなぁ。親日家っぽいし。
サントラ盤はランブリング・レコーズさんから10/27発売です。
『クロッシング』オリジナル・サウンドトラック
音楽:マーセロ・ザーヴォス
品番:GNCE-7080
定価:2,625円