待ちに待った『トロン:レガシー』(10)を観てきました。
先にサントラを聴いて、その素晴らしい音楽に衝撃を受け、これは映画本編もハイクオリティに違いない!・・・と思って本編を鑑賞したのですが、期待しすぎたせいか、個人的には「うーん、こんなもんなのかなー」という感じの内容でございました。
いや、ダークで無機質なグリッド世界のヴィジュアルとか世界観はよく出来ていると思うのです。父と子の絆とか、放蕩息子の人間的な成長のドラマもグッと来るし。
問題なのは「3D」という見せ方。これだったら2Dで公開した方がよかったんじゃないかと思う。基本的にグリッド世界は背景が真っ黒なので、3Dにしてもあまり奥行き感が感じれらないし、ただでさえダークな映像なのに、3Dメガネで映像が2割増しで暗くなるという困った事態に。全編、暗闇にブルーや黄色や赤の光がネオンのようにぼうっと光り輝く映像が続くので、時折心地よい眠りの世界に誘われる事も・・・。この映画を観る時は、前日にきちんと睡眠を取っておく事をお勧めします。心地よい感じの暗さがマジで眠気を誘いますので。
1作目の『トロン』(82)と本作をつなぐ要素として、アラン・ブラッドリー役のブルース・ボックスレイトナーが登場するわけですが、ファンサービスで序盤に顔出しする程度かと思ったら、最後まで出てくれてました。グリッドでも「トロン」の姿で活躍してくれるし。エドワード・デリンジャーの息子役でキリアン・マーフィーがカメオ出演しているのもナイス。『インセプション』に続くボンボンの役ですな。あと、クルーの副官的プログラム・ジャービス役で『THE TUDORS 背徳の王冠』の”クロムウェル君”ことジェームズ・フレインが出てました。この映画でも上司に内緒で陰謀を企てて破滅する役。ジギー・スターダスト風のルックスでノリノリなマイケル・シーン(『クィーン』でブレア首相を演じた人)にはもっと主人公を引っかき回してほしかったけど、最後は実に呆気なかった。女優さんが総じてクールビューティーな感じでポイント高いです。
個人的には、サム・フリンを演じたギャレット・ヘドランドがなかなかよかった。一般には『トロイ』(04)のパトロクロス役で有名なんだろうけど、僕の場合は『フォー・ブラザーズ/狼たちの誓い』(05)のマーサー兄弟のバカ可愛い末っ子役がお気に入り。この前『狼の死刑宣告』(07)でスキンヘッドの極悪チンピラ役でこの人を見た時はどうなるかと思ったけど、この調子なら正当派ヒーロー役もこれからオファーが来そうなので安心しました。
グリッド世界のジェダイ・マスターと化したケヴィン・フリン=ジェフ・ブリッジスが、『ビッグ・リボウスキ』(97)、『ヤギと男と男と壁と』(09)に続いてまたもやヒッピー/ニューエイジ思想に傾倒する男を演じていたのが何か笑える。この人の顔はアメリカ人にはそういう風に見えるんだろうか。サムとケヴィンが20年振りの再会を果たして互いの距離を縮めていくシーンは結構泣けます。
サントラについては前回のブログで書いた通りですが、フリンのゲームセンターで前作のジャーニーの”Separate Ways (Worlds Apart)”とユーリズミックスの”Sweet Dreams (Are Made of This)”がかかるのがポイント。時代の流れを感じさせます。
ゲームといえば、フリンのゲームセンターに置いてあったアーケードゲーム版『TRON』というのは、画面を見た感じだと昔ファミコンで発売された「Wit’z」みたいなゲームなんだろうか、と思いました。あの「壁にぶつかると負け」っていうアレ。
・・・というわけで、名作になれる要素はいくつもあるのに、3D化のせいで逆にクオリティを下げてしまった感じ。DVD/BD化した時に2Dで見たら、また違った印象を受けるのかもしれません。今度は2Dで観直して楽しみたい所存です。