午前中にCDラックを整理していたら『JM』(95)のサントラが出て来た。
懐かしいなーコレ。
キアヌ・リーヴス(伸びかけスポーツ刈り+テクノカットな髪型が奇妙な感じ)、
「人間核弾頭」ドルフ・ラングレン、
B級映画の帝王アイス・T、
怪優ウド・キア、
『スターシップ・トゥルーパーズ』(97)のディナ・メイヤー、
ロリンズ・バンドのヘンリー・ロリンズ、
そして北野武・・・と、カルト作品になる事を運命づけられたような”濃い”キャスティング。
しかも原作・脚本にウィリアム・ギブスン、
ビジュアル・コンサルタントにシド・ミードまで起用しているのに、
実際にはカルトどころかB級SFにしかならなかったのが残念な映画。
原因はやっぱり監督のロバート・ロンゴにあると思う。
モダンアート出身で映画監督が本職じゃないせいか、
演出とか映像の見せ方が何だかシロウトっぽい感じ。
話が面白くなりそうな要素は結構あるのに、
演出にメリハリがないのでイマイチ盛り上がりに欠ける。
ラッセル・マルケイとかポール・W・S・アンダーソンだったらもっと上手く撮れたんじゃないだろうか。
音楽(既製曲)の使い方もあまりセンスがいいとは言えないし、
ヤクザの高橋(=北野武)の子分、シンジ役が太眉のデニス・アキヤマなのも全然イケてなくて萎える。
例えば加藤雅也あたりが演じてくれていたら、
もうちょっとイカす悪役になったと思うんだけどなぁ。
ただ、映画の舞台が2021年で、
電磁波による環境汚染が原因で”NAS(神経衰弱症候群)”なる不治の病が蔓延しているという設定が妙にリアルだったり、
ハッキング対策で極秘データを脳内のシリコンチップに記録してデータを運ぶ”記憶屋”という職業も、
ビジネスとしては意外とアリかもと思ったり、
物語の設定はなかなか興味深いものがあります。
つくづく監督がロンゴだったのが悔やまれます。
で、この映画のサントラ。
音楽の使い方はあまりセンスがいいとは言えませんでしたが、
楽曲提供した面々はこれまた”濃い”顔ぶれ。
スタッビング・ウエストワード、ヘルメット、バケットヘッド、
KMFDM、オービタル、ロリンズ・バンド、フィアー・ファクトリーなどなど、
インダストリアル・ロック/テクノ系アーティストの楽曲がゴチャっと収録されてます。
(アーティストが『モータル・コンバット』(95)のサントラと微妙に被る)
HR系コンピ盤と思って聴けば、今でも結構イケます。
個人的にお気に入りなのが、
映画のエンドクレジットで流れるGod Lives Underwaterの”No More Love”と、
記憶屋ジョニーがサイバースペースに侵入するシーンで流れる、
ボノ&エッジの”Alex Descends into Hell for A Bottle of Milk / Korova 1″の2曲。
ボノ&エッジの曲は割と効果的な使われ方をしていたような気もするし、
“No More Love”もいい曲だった。
ちなみに日本公開版のオリジナル・スコアはマイケル・ダナですが、
アメリカ公開版は『ターミネーター』(84)、『ブロンディー 女銀行強盗』(93)のブラッド・フィーデルのスコアに差し換えられました。
US盤にフィーデルのスコアが1曲収録されているのはそのためです。
マイケルさんのスコアで『JM』が観られるのは日本だけという事で、
惜しい出来の映画だけど、弊社的には愛おしい映画でもあったりします。
その理由は下記リンク(↓)参照という事で。