シャッフル -Premonition-

premonition

シネフィル・イマジカで放送していたサンドラ・ブロックの『シャッフル』(07)を何となく見てみた。

うーーん、重い映画だった・・・。

夫の訃報を聞いた妻のリンダ(サンドラ)が、夫が自動車事故に遭う前後の日を行ったり来たり(←ここが”シャッフル”たる所以)しながら、何とかして”最悪の結末”を回避させようと奮闘するミステリー映画。『バタフライ・エフェクト』(04)系の内容かと思ったら、映画で描かれるテーマはあれよりもっと重かった。ハリウッド映画的な予定調和のエンディングにもならないし。

あんまり詳しく書くとネタバレになるので漠然としか言えないのですが、多分去年ぐらいにこの映画を観ていたら「たとえ運命は変えられなくても、その”過程”をよりよい方向に修正出来るなら闘う価値はある」と言いたかったんじゃないか、と解釈していたと思います。しかし、多少なりとも3.11の大震災を経験した今となっては、「運命は変えられないけれど、人はそれを受け入れて前に進まなくてはいけない」というテーマだったのではないか・・・と考えてしまう。信仰については、宗教観の違いもあるので日本人には分かりづらい所がありますが。

重い映画だけど、ある意味「今、この時期だからこそ見るべき映画」なのかもしれないな、と。テーマの解釈は人それぞれだと思いますが、ただひとつ確実に言えるのは「運転中のケータイの使用は危険!」って事かな。絶対やめましょう。

演出面では「曜日のシャッフル」というのがなかなかスリリングでした。夫の死の知らせを聞いた日(事故当日でないところがミソ)からランダムに曜日がシャッフルされるので、そう簡単に事故を防ぐ事が出来ないわけです。映画の序盤でばら撒かれる数々の謎(子供の顔の傷やリチウムの薬瓶、破れた電話帳のページ、焼けこげた鳥の死骸、意味深な留守電メッセージなど)が、話が進むにつれキチンと整理されていく脚本も秀逸。脚本を書いたのが『魔法にかけられて』(07)とか『タイムトラベラー きのうから来た恋人』(99)のビル・ケリーと聞いてさらに驚き。

音楽はリモート・コントロール組のクラウス・バデルト。ピアノ+弦楽奏+打ち込みのリズムによる静かなで哀調を帯びたスコア。ピアノのメインテーマが結構泣けます。

バデルトはRC組のミュージシャンの中でも、『リクルート』(03)とか『すべて彼女のために』(08)とか、静かで抑制の利いた曲作りが巧い人なんだと思う。『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』(03)はジマーが作曲した素材(メインテーマとか)をもとに作ったスコアだから、「バデルトらしさ」という点ではちょっと違うと思うし。今回も手堅い仕事をしてます。

ちなみに『シャッフル2 エクスチェンジ』(07)は韓国映画のリメイクで、本作の続編でもなければ姉妹編でも前章でもないのであしからず。あれはシャッフルというかスウィッチですな。どっちかというと。

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