うーん、今回はメーター(おとぼけオンボロレッカー車)が主役なのね・・・。『カーズ2』というより、メーターが主役のスピンオフ映画と言った方がいいかもしれませぬ。
前作『カーズ』(06)では助演キャラだったので、メーターの自覚のないトラブルメーカー&空気の読めなさっぷりもギリギリ許容範囲だったのですが、今回はほとんど主役級の扱いなのでおバカっぷりもパワーアップ(泣)。最初から最後までトンチンカンな言動を繰り返すし、正直見ていてツラかった・・・。劇中、マックィーンが「僕はメーターにひどい事を言ってしまった」と後悔するシーンがありましたが、少なくとも日本のパーティーのシーンで彼が言ってた事は正論じゃないかと思うけどなぁ。
メーターに感情移入できないのは自分が屈折しているせいだろうか?と思ったものの、メーターをジャージャー・ビンクスと評した感想を結構見かけたので、まぁ自然な反応なのかな、と思った次第。どうもアメリカ人は「自覚のないおバカキャラ」を面白がる傾向があるらしい。ジャージャー(ま、コイツはSWファンに嫌われましたが)とかアダム・サンドラーとか、日本人にはチト笑えない芸風かと。
webとかで拾い読みした映画評に「殺伐とした内容」という意見があって、一体何の事だろうと思ったのですが、たぶんザンダップ教授が諜報員のクルマを拷問してスクラップにする(もしくは爆散させる)描写とか、ザンダップ一味とフィン・マックミサイルがマシンガンやミサイルを撃ちまくる描写の事を言っているのでしょう。クルマの世界ではスクラップになる=死を意味するので、言われてみれば確かにピクサーらしからぬダークな描写かも。でもスパイ物をやるならこの手の描写は避けては通れないわけで、まぁ多少殺伐としても仕方がないのではないかと。
この映画、マイケル・ケインやジョン・タトゥーロ、トーマス・クレッチマンにフランコ・ネロなど、ピクサーらしからぬ”濃い”顔ぶれが新キャラの声をアテていたので字幕版で見たかったんですが、MOVIX仙台では吹替え版しかやってませんでした。ケインの秘密諜報員役を原語音声で聞きたかったのにぃ。あと、出番は少ないけどロッド・トルク・レッドライン役のブルース・キャンベルの声も聞きたかった。真面目な役だったので『キャプテン・スーパーマーケット』(93)みたいなハジケた演技はしてなかっただろうけど。
そんなわけで、テーマ性とかメッセージ性こそ前作より薄まってしまったものの、背景の緻密な作り込み具合(歴史的建造物とか名所にクルマのパーツの形を盛り込んである)がハンパないので、そのあたりはなかなか面白いです。相変わらずクルマたちは愛くるしいルックスをしているし、悪役のザンダップ教授も、よく見れば愛嬌のある風体をしてると言えなくもないです。
あと、マイケル・ジアッキーノの音楽がなかなか健闘しているのですが、それについてはまた次回という事で。
映画の詳細についてはオフィシャルサイト http://www.disney.co.jp/cars/ をご参照下さい。