今回の『カーズ2』(11)は個人的にイマイチ乗り切れなかったわけですが(前回のブログ参照)、それは映画を見る前に聞いたサントラ盤がなかなかイイ出来だったから。音楽の良さに期待を膨らませすぎた分、本編でのメーターの想像以上のジャージャー・ビンクスっぷりにガッカリ来てしまったと。
というわけで、本日はサントラ盤の事をダラダラと。今回のアルバムも前作同様「歌モノ+オリジナルスコア」という構成で、歌モノ5曲にスコアが21曲の全26曲収録。
ライトニング・マックィーンとメーターが日本にやって来るシーンで流れるのが、ウィーザーの”You Might Think”(ザ・カーズのカヴァー)。『カーズ』だからザ・カーズのカヴァーという事なんでしょうが、それをウィーザーが歌う事でさらにひとヒネリ加えてあるのがミソ(どういうヒネリかはウィーザーのファンなら既にお分かりかと)。
トーキョーでのパーティー会場で流れるのがPerfumeの”Polyrhythm”。原曲に比べると映画で使われたヴァージョンは音圧を絞ってあるらしいですが、効果音との兼ね合いとか、日米間でのテクノのミックス感の違いとか、そういう理由ではないかと。たぶん前者だとは思いますが、YMOのデビューアルバムも海外版はわざわざ別リミックスさせられた経緯があるので、後者の線も考えられます。
ちなみにエンドクレジットでもう1回”Polyrhythm”が流れますが、恐らくアメリカ公開版ではブラッド・ペイズリーの”Nobody’s Fool”が流れる箇所で、日本公開版だけ曲を差し換えているのではないかと思います。
エンドクレジットで”Polyrhythm”の前にかかるのが、ロビー・ウィリアムズとブラッド・ペイズリーのデュエット曲”Collision of Worlds”。ロビーとブラッドがイギリスとアメリカのご当地モノを掛け合うヴォーカルが面白いのですが、ポンドにドル、FBIにCIAときて、なぜタバスコにワザビなのかがよく分かりません。
ベナバールの”Mon Coeur Fait Vroum”は、フランスのシーンで流れるユルいフレンチ・ポップスで、作曲はマイケル・ジアッキーノ。フランス人ヴォーカリストとしてベナバールをチョイスするあたり、製作スタッフ(ラセター?)もなかなかのツウですね。
前作はランディ・ニューマンが音楽を担当していましたが、マッタリした片田舎が舞台の前作と違って、今回は目まぐるしい展開のアクション映画になっているので、作曲家もマイケル・ジアッキーノに交代。カレの作風を考えると、この人選は正しかったと言っていいでしょう。『スピード・レーサー』(08)の興奮再び!と言わんばかりの「電子楽器や打ち込みを使わない燃え系スコア」を聞かせてくれます。特に60年代のスパイ映画のようなレトロなエレキギターをフィーチャーしたスコアが最高にイカす。「テケテケテケテケテケ・・・!」というベンチャーズ風のギターフレーズも随所でカマしてくれます。多分、この映画で一番よく出来ているのはジアッキーノの音楽かもしれません。『Mr.インクレディブル』(04)とか『スピード・レーサー』の音楽が好きだった人なら、サントラを買ってしまってよろしいんじゃないでしょうか。
国内盤はエイベックスから発売中。歌詞対訳もついてます。
『カーズ2』オリジナル・サウンドトラック
音楽:マイケル・ジアッキーノ
品番:AVCW-12839
定価:2,600円