今月はザ・シネマで『マイ・ボディガード』(04)を放送していますが、この映画のベースになっているのは短編『The Hire – Beat The Devil』(02)なんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
『The Hire』はBMWが製作した10分前後のコマーシャル短編映画で、クライヴ・オーウェンがBMWのドライバー役で主演しています。CMとはいえジョン・ウーやアン・リー、ジョー・カーナハンなど錚々たる映画監督が演出を手掛けており、短編ながらなかなか見応えのある作品になってます。
『Beat The Devil』はトニー・スコットが演出を手掛けた一編。若い頃に悪魔と契約して成功を収めたジェームズ・ブラウン(本人)が、悪魔(ゲイリー・オールドマン)に契約内容の不備を訴えたところ、ストリートレースで勝ったら内容を見直してやると言われ、ドライバー(オーウェン)と共にストリートレースに挑む事になる、みたいなお話。悪魔の側近(付き人?)役でダニー・トレホが出ているのがポイント高いです。ゲイリー・オールドマンのイカレっぷりも最高。
で、この短編を見て頂ければお分かりになると思いますが、
「ガチャガチャ・ギラギラした映像」
「ハリー・グレッグソン=ウィリアムズのエレクトロ・スコア」
「スタイリッシュな英語字幕の出し方」
「ハイテンションで喋りまくる登場人物」
・・・などなど、『マイ・ボディガード』(及び近年のトニー・スコット作品)に共通する要素がいくつも見つかります。というか、『マイ・ボディガード』や『ドミノ』(05)は「この短編のノリで撮っちまえ!」的なノリで作ったんじゃないか、という印象すら受けてしまう。
ちなみにアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥが監督した一編『Powder Keg』(01)の終盤で、『マイ・ボディガード』のサントラで使われた”Una Palabra”が流れます。多分トニーも「この曲いいなぁ。オレも今度の映画で使っちゃおうかな。南米が舞台だし」・・・と思ったような気がする。余談ですが、『Powder Keg』は『The Hire』シリーズの中で最も評価が高いです。
『マイ・ボディガード』のサントラについても、後日何か書かせて頂こうと思います。