The Adjustment Bureau

the adjustment bureau

先日『アジャストメント』(11)のDVDを借りて観たのですが、何か予告編から受けた印象と映画本編の内容が全然違ってた気がする。

予告編は劇中の映像をうまく編集してSFアクションみたいな内容に見せてますが、実際は何だかユルい雰囲気の映画だった。

ハット・スクワッド風の「調整局員」が、世界の秩序を保つために人間の未来を秘密裏に「調整」する・・・というあらすじを聞いた時には、僕の好きな映画『ダークシティ』(98)みたいなSFスリラー的な話なんだろうなーと思ったのですが、どっちかというとSFラブストーリーですねぇ、これは。

新進気鋭の政治家デヴィッド(マット・デイモン)と、前途有望なバレエダンサーのエリース(エミリー・ブラント)が運命的な出会いを果たすのだけれども、彼らが結ばれるとミジメ(?)な未来が待っているので、調整局があの手この手で二人が再会しないよう妨害する・・・のですが、その手口が「同じバスに乗せないように、絶妙なタイミングでコーヒーをこぼさせる」とか「タクシーに乗せない」とか、結構セコい。ま、これは「あまり派手に妨害すると、他の事象にも連鎖的に悪影響が出るから」という理由があるのですが。

調整局の皆さんも、うたた寝して妨害するのをミスったり、デヴィッドに何度も出し抜かれたり、意外とピリっとしない。『ハート・ロッカー』(08)のアンソニー・マッキーとか『MAD MEN』のジョン・スラッタリー、テレンス・スタンプ御大がちょっぴりおマヌケ(&お人好し)な調整局員を大真面目に演じているってのもなかなかオツですな。

原作はフィリップ・K・ディックの短編小説だそうですが、たぶん原作と映画は全くの別物なんじゃないだろうか。監督・脚本・製作はジョージ・ノルフィ。あのとんでもない楽屋オチでガクッとなった『オーシャンズ12』(04)の脚本を担当した人ですね。そういえばあの映画もユルい感じの展開だったっけ。

音楽担当はトーマス・ニューマン。当初はジェームズ・ホーナーの名前がクレジットされていたものの、いつの間にかニューマンに代わってました。ま、SF恋愛ドラマだった本編を見れば、この人選で正解だったという気もします。

ミニマリスティックなピアノの音色、繊細かつ凝ったエフェクトをかけられたリズムギター、エキゾティックな木管楽器の旋律、軽快なリズムを奏でるパーカッション・・・と、特徴的な「トーマス・ニューマンの音」を全編で鳴らしてくれてますサウンド的には『WALL・E』(08)に近いかなー。ニューマンのSFサスペンス(一応)音楽も結構いい感じです。あと、リチャード・アシュクロフトが楽曲提供してました。

サントラは配信オンリーの発売で、アメリカのiTunesやamazonのMP3ダウンロードで扱っているものの、日本では買えない様子。何でこういう事をしてくれるかなー(サントラ売る気あるの?って感じ)。結構「音楽がよかった」という感想もweb上で見かけるので、何とも残念な仕様。

Daryl Hall & John Oates 関連商品 好評発売中!

■Eliot Lewis/ 6 & One
 AMAZON
 レーベルショップ
iTunes 6 & One - Eliot Lewis

■Charlie DeChant / Like the Weather
 AMAZON
 レーベルショップ
 iTunes Like the Weather - Charlie DeChant