DARK SHADOWS(映画について)

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ティム・バートン監督による「ちょっと変わったヴァンパイア映画」という宣伝文句(?)で公開中の映画『ダーク シャドウ』(12)観て参りました。

感想としては、「何か想像していたのと違う内容だったなぁ」という感じ。

「18世紀半ばにヴァンパイアにされて棺桶に入れられた男が、200年ぶりに蘇って大騒動を巻き起こす」というあらすじを聞いた時には『ビートルジュース』(88)みたいにメチャクチャな事をやってくれるのかと思ったのですが、あの映画ほどブッ飛んでいるわけでもなく、カルチャーギャップネタも控えめで、ホラー映画とカテゴライズするには『スリーピー・ホロウ』(99)ほど残虐でもない。「それなりによく出来てるけど、何か物足りない」という印象でした。

ティム・バートン映画の面白さ…というか奥深さは「異形(異端)なる者の悲しみと葛藤」というテーマにあると思うのですが、『マーズ・アタック!』(96)以前とそれ以降の作品では、バートンの作風に若干の変化が現れたような気がする。

今やバートンは興行的にも批評的にも成功を収めたヒットメーカーだし、他のクリエイターならダメ出しされそうな企画も映画化出来てしまう力もあるし、私生活のパートナーもゲットしたし(しかも美女リサ・マリーからヘレナ・ボナム・カーターに乗り換えたし)、異端者たる自分が世間に認められるようになったので、以前ほど「何で誰も僕を理解してくれないんだ!」と悩まなくなったのではないかと。その結果、彼の作品からもあのヒリヒリするような「純粋であるがゆえの危うさ」のようなものが薄まってしまったのではないかなーと考えたりします。『アリス・イン・ワンダーランド』(10)も何かが足りなかった気がするし。

というわけで、今回の『ダーク・シャドウ』も「もうちょっとハジけてほしかったなー」という作品でした。とはいえ、こってりメイクのエヴァ・グリーンの性悪魔女っぷりと、いかにもバートン好みなルックスのベラ・ヒースコートの浮世離れした暗黒お嬢様っぷりはなかなかよかったです。

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ところで、この映画の初期版のチラシに「(バーナバスが)フツーじゃない理由」というのが6つほど書いてあったのですが、「その4. 人を襲うのは、ちょっと」というのはちょっとヘンではないかと。劇中、バーナバスは工事現場の作業員やたまたま顔を合わせたヒッピーご一行様の血を吸って殺してましたので。

・・・と思ったら、新しく刷ったチラシとパンフからはこの項目が消えてました。ああ、やっぱり。

音楽についてはまた次回。

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