ジョニー・デップ×ティム・バートンのタッグ作品という事で、それなりにスマッシュヒットが見込める映画と判断させたせいか、『ダーク・シャドウ』(12)のサントラは劇中使われた歌モノを収録したコンピ盤と、ダニー・エルフマンのスコア盤の2種類がリリースされました。
しかもスコア盤は配信のみとかではなく、ちゃんとしたプレスCDでのリリース。素晴らしい。
エルフマンの音楽は、オーケストラとコーラス隊、打楽器をドコドコ鳴らす「いつもの」スコア。滑稽さは抑えめにして、割と本格的なゴシックホラー音楽を聞かせてくれています。メインテーマのメロディーも、いかにもエルフマンらしい感じ。正確には「ティム・バートンと組んだ時のエルフマンらしいメロディー」と言うべきか。
本編を観る前にこのアルバムを聴いていたら、「『ビートルジュース』(88)みたいな映画なのかな?」なんて間違った先入観を持たずに『ダーク・シャドウ』の世界にどっぷり浸かれたのかもしれません。どうでもいい事ですが、アルバムのトリを飾る”We Will End You!”のイントロのリズムがQueenの”We Will Rock You”に似ている(ように聞こえる)のはワザとでしょうか。
活劇タッチの大仰なスコアもよいのですが、バーナバスとジョゼット(18世紀の元恋人)/ヴィクトリア(現代のワケあり家庭教師)の悲恋を予兆させる物悲しいスコアも素晴らしい出来です。
一方のコンピ盤は、映画の中で使われた60年代&70年代の歌モノを9曲と、エルフマンのスコア2曲を収録。もちろんアリス・クーパーの曲も入ってます。トラックリストは以下の通り。
1. Nights in White Satin / The Moody Blues
2. Dark Shadows – Prologue / Danny Elfman
3. I’m Sick of You / Iggy Pop
4. Season of the Witch / Donovan
5. Top of the World / The Carpenters
6. You’re the First, the Last, My Everything / Barry White
7. Bang a Gong (Get It On) / T. Rex
8. No More Mr. Nice Guy Alice Cooper
9. Ballad of Dwight Fry / Alice Cooper
10. The End / Danny Elfman
11. The Joker / Johnny Depp
映画のオープニングをシブく飾ったThe Moody Bluesの”Nights in White Satin”(『カジノ』(95)でも使われてた名曲)、ドノヴァンの”Season of the Witch”あたりがナイスな選曲です。本編ではエルトン・ジョンの”Crocodile Rock”やブラック・サバスの”Paranoid”なども使われていますが、アルバムには未収録(恐らく権利関係の問題)。
で、映画ファン(&ジョニー・デップのファン)が一番気になるであろう11曲目の”The Joker”なのですが、どうやらSteve Miller Bandの同名曲の歌詞の一部をデップが引用して喋っただけのものみたいです。プレイタイムは20秒弱しかないし。どこかに「デップが『ダーク・シャドウ』に曲を提供!」みたいな事が書いてあったけど、少なくともこの曲の事ではなさそうです。
ちなみに『ラム・ダイアリー』(12)にはデップがJD Band名義で楽曲提供&演奏を手掛けている曲が3,4曲ほどあるので、ファンの方は要チェックかと。