247°F

247F

レンタルDVD店の「サスペンス・ホラー」の棚に並ぶ怪しげな日本未公開のホラー映画の数々。何となく興味をそそられてパッケージ裏面のあらすじを読んで、「これ意外と面白いんじゃね?」と思って借りてみると心底しょーもない映画だったりして、まぁ確率から言えばダメな映画の方が多いわけですが、中には掘り出し物もあったりするから侮れません。

「サウナから出られなくなるワン・シチュエーション・スリラー」という解説文に興味を持ち、なおかつ僕が他の映画で見た事のある役者さんが3人出演していたので、『247°F』(11)なる映画をレンタルしてみました。原題の意味はFahrenheit 247(摂氏にすると約120°)。劇中でサウナがピークまで上昇した時の温度です。

ちなみに見た事のある役者さんというのは、『ランナウェイズ』(10)でリタ・フォードを演じていたスカウト・テイラー=コンプトン、リメイク版『13日の金曜日』(09)でいけ好かない金持ちのボンボンを演じていたトラヴィス・ヴァン・ウィンクル、『X-MEN』(00)のセイバートゥース役のタイラー・”ビッグ・スカイ”・メインの3人です。

湖畔の別荘にやって来た4人の若い男女のうち3人が、ある事情によりサウナから出られなくなってエライ事になるという至ってシンプルなストーリー。映画が始まってすぐサウナに監禁というわけではなく、35分ほどキャラクターのバックグラウンドを説明するドラマがあるので、サウナに閉じこめられるのは正味40分ぐらいかな。

「4人のうち3人」というのがミソで、もう一人のやつはどうしたんだと。サウナに入る前に女子と口論しているし、別荘の管理をしているオッチャン(これがタイラー・メイン)からもらった密造酒とハッパでラリってるし、イタズラで仲間を閉じこめたのか、ラリって気絶してるのか、過剰摂取で死んでしまったのか、明確な殺意をもっての行為なのか、途中までなかなか分からない。オッチャンもハッパでラリってるので、あまり頼りになりそうもない。

で、サウナに閉じこめられた3人も決して悪い人たちではないのだけれども、極限状況下で熱中症と脱水症状とガス中毒でヤラれて精神状態は最悪。助けも来ないし状況を打開する手段もないしで、しまいには仲間に日頃言えなかったような恨み辛みをブチまけたりするようになると。このへん、かなりドロドロした心理ドラマが続きます。

「サウナで蒸し焼き状態」といっても『ファイナル・デッドなんたら』シリーズみたいなグロ描写はほとんどありません。が、見ていて結構息苦しくなります。サウナ内の3人が終始汗だくですっごく苦しそうにゼーゼー言ってるから。

舞台がサウナなので、当然出演者は水着(というか下着)姿。スカウトたんが薄着で汗だくになってハァハァする姿は結構エッチな感じなので、B級ホラーに欠かせないセクシー描写もちゃんと押さえてあります。そういう目的で観てみても、それなりにご満足頂けるかもしれません。

どうでもいいけどこの3人、サウナに入る前とか中で密造酒とかビール飲みまくってるんですよね…。これ、フツーに考えてもかなり危ないと思う。

というわけで、個人的にはなかなか楽しめた作品でした。”掘り出し物映画”認定。

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