金曜に『007 スカイフォール』(12)のサントラが届いたので、
週末に延々と聴きまくってました。
音楽はサム・メンデス監督のお気に入り、トーマス・ニューマン。
ワタクシはトーマス・ニューマンの音楽が好きなので、
アメリカ人の彼があの007の音楽担当に抜擢されたというのはかなり感慨深いものがありました。
アメリカ人作曲家の起用は『消されたライセンス』(89)のマイケル・ケイメン以来になりますかねー。
トーマス・ニューマンとアクション大作(しかも007シリーズ)というのがなかなか頭の中で結びつかなかったのですが、
なるほどこう来たかと。
『スカイフォール』の前にロマンティックSFサスペンスの『アジャストメント』(11)と、
スパイスリラーの『ペイド・バック』(11)の音楽を担当したのがいい準備運動になったようです。
今回の『スカイフォール』も、
『さらば、ベルリン』(06)などで聴くことの出来るニューマン一族直伝の正統派オーケストラ・サウンドに、
『マッド・シティ』(97)や『ジャーヘッド』(05)などで印象的だったヒネリのあるエキゾティシズムと、
『ソルトン・シーの復讐』(02)などのエレクトロ/サウンドがブレンドされた好スコア。
いい感じに「典型的な007音楽」のセオリーを壊してくれていて、
これが実に興味深い。名盤決定!
…とワタクシは思うのですが、何だかAmazonのカスタマーレビューが妙に低い。
うーん、おかしいなぁ。ま、これはもう聞き手の趣味の問題ですねー。
「”ジェームズ・ボンドのテーマ”がほとんど使われてないので印象に残らない」的な感想が多いのですが、
たぶんニヒルでストイックでリアル志向ななダニエル・クレイグ版ボンドは、
そのメロディーが流れただけで場の空気を一瞬で(フィクション的な世界に)変えてしまう、
“ジェームズ・ボンドのテーマ”が似合わないキャラクター造形とストーリーなのでしょう。
それでも007ファンは「あのテーマ曲」が聞きたいわけで、
そうなるとフルオケとエレクトロビートを駆使して、
伝統的な007音楽をモダンでカッコよくアレンジしたデヴィッド・アーノルドの音楽の方がいい!って事になるんだろうなと思います。
(ニューマンも本作で部分的・断片的に”ジェームズ・ボンドのテーマ”を使ってますが)
というわけで今回の『スカイフォール』のサントラは、
「トーマス・ニューマン好きには楽しめるけれども、キャッチーなメロディーを求める007ファンには違和感を覚えるアルバム」のようです。
ニューマンの音楽は映画本編の映像と非常にマッチしてましたが。
ちなみにワタクシは『ゴールデンアイ』(95)の音楽もかなり好きなのですが、
これもどうやら少数派らしい。
これに関しても思うところはいろいろあるのですが、まぁ気が向いたら何か書いてみたいと思います。