「ケルティック・ロマンス」のマイケル・ダナが『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』(12)の音楽で、めでたくゴールデン・グローブ賞の最優秀作曲賞を受賞しました。
いやー嬉しいですね。ダナの受賞はもちろんの事、プレゼンテーターがジェイソン・ステイサムだったのも個人的に嬉しかったりして。ジェニファー・ロペスと一緒に出てたのは、映画『PARKER/パーカー』(13)の宣伝も兼ねてますね。ワイルドな封筒の開封の仕方がツボでした(笑)。
壇上にはX JAPANのYOSHIKIもいたし、ある意味話題性にも事欠かない顔ぶれ。
さて、これでいよいよアカデミー賞作曲賞も射程圏内に入ったわけですが、気になるアカデミー賞の作曲賞候補者の顔ぶれはというと、
■ダリオ・マリアネッリ/『アンナ・カレーニナ』
■アレクサンドル・デスプラ/『アルゴ』
■マイケル・ダナ/『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』
■ジョン・ウィリアムズ/『リンカーン』
■トーマス・ニューマン/『007/スカイフォール』
…となっております。
今年は「映画音楽できちんとした実績を残している人」がノミネートになりました。
『リンカーン』は最多12部門でノミネートされていますが、ここ十数年のアカデミー賞におけるジョン・ウィリアムズは「映画音楽部門のメリル・ストリープ」状態(=抜群の知名度と実績でノミネートされるけれども、受賞とまでは行かない)なので、今回も受賞はないのではないか。
トーマス・ニューマンも007での受賞は難しいかもしれない。
となるとデスプラかダナかマリアネッリという事になるわけですが、マリアネッリは『つぐない』(07)で受賞経験あり、デスプラは『英国王のスピーチ』(10)、『ファンタスティックMr. Fox』(09)、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(08)、『クィーン』(06)とオスカーノミネートの常連(受賞までは至らず)と化している強豪。
マリアネッリは作品自体の一般受けが『アルゴ』(12)と『ライフ・オブ・パイ』に比べると弱い気がするので、恐らくデスプラとダナの一騎打ちになるのではないかと。
で、ダナがオスカーを受賞出来るアドバンテージは何かと考えると、まずアン・リー監督作品である事。『グリーン・デスティニー』(00)と『ブロークバック・マウンテン』(05)は作曲賞を受賞しているので、アン・リー作品は作曲賞を呼び込むツキがあると考えられます。
もうひとつは、アカデミー賞は「ワールドミュージック系の音を好む」という事。前述の『グリーン・デスティニー』がそうだったし、『スラムドッグ$ミリオネア』(08)とか『フリーダ』(02)、古くは『ラストエンペラー』(87)もそのパターン。というわけで、『ライフ・オブ・パイ』のインド音楽の要素は有利に働くと考えられます(まぁ『アルゴ』も中東音楽の要素が入ったスコアでしたが…)。
そしてもうひとつは、ゴールデン・グローブ賞を受賞した事。去年の『アーティスト』(11)もおととしの『ソーシャル・ネットワーク』(10)も、その前の『カールじいさんの空飛ぶ家』(09)も『スラムドッグ』も、ゴールデン・グローブ賞とアカデミー賞の両方で作曲賞を受賞しているので、この流れに乗れば今回は『ライフ・オブ・パイ』ではないかと。
正直申しまして、今回のオスカーの作曲賞レースは客観的な視点で見られません。
弊社は100パーセントダナ推しです。皆さまも応援よろしくお願いします。
最後にまた宣伝になりますが、マイケル・ダナの音楽の多様性を知りたい方は、この機会に是非『ケルティック・ロマンス』を聴いてみて下さい。