『47RONIN』でいい味を出しているあの助演キャラについて

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この映画をご覧になった方のうち、
一体何人の人がこういう見方をしたか分かりませんが、
『47RONIN』(13)に登場する脇役キャラで最も印象に残るキャラを一人挙げるなら、
やはり大石内蔵助の片腕兼足手まといだった安野(羽田昌義)ではないかと思います。
何というか…安野のヘタレっぷりがいい味出してるんですよ、これが。

 

まず映画冒頭の麒麟狩りでいきなり小物っぷりを披露。
麒麟に殺されかけたところをカイ(キアヌ・リーブス)に助けられたにも関わらず、
カイに感謝するどころか、
「お前に命を救われるならコイツに殺された方がマシだった」と悪態をつく始末。
一応「麒麟退治は安野の手柄」という事になったものの、
大石内蔵助(真田広之)にも浅野の娘ミカ(柴咲コウ)にも、
「本当はカイの手柄」とバレバレ。
ミカ曰く「安野の顔に屈辱の表情が浮かんでいたから」らしい。

続く将軍綱吉(ケイリー=ヒロユキ・タガワ)を迎えての御前試合では、
試合直前になってミヅキ(菊地凛子)に妖術をかけられて、戦う前にリタイア。
結果、武士でもないカイが代理で戦うハメになり、
「武士でもないのに御前試合に出やがって」と将軍のご機嫌を損ねてしまったカイは、
浅野内匠頭の機転で何とか打ち首は免れたものの、
哀れ罰として仲間からボコられる事に(泣)。
その一方で安野はお咎めナシ。これはヒドい。

そして中盤、四十七士集結の場に大石がカイを連れて合流するや否や、
「何で武士でもないコイツがここにいるんです」と文句をつけ、
「私が協力を頼んだ」と大石にピシャリと言われて何も言えなくなる。
その後、刀鍛冶の村で「カイ無双」を目の当たりにしてア然としていたのが笑えます。
それでもカイの腕を認めてやれない狭量さに苦笑い。

天狗の地では大石から「お前たちはここに残れ」と言われていたのに、
しびれを切らして仲間と一緒に天狗の隠れ家へ突入。
刀を抜いて大惨事に。
まぁこれは天狗様が大石に見せた幻覚(=天狗様の試練)だったわけですが、
大石の潜在意識で「安野は突出するタイプ」という思いこみがあったから、
ああいう幻を見てしまったのではないかとも解釈出来ます。

ミズキの計略で大石ご一行様が吉良の奇襲に失敗した時は、
安野を助けた芭蕉(米本学仁)が死ぬという取り返しのつかない事態に。
芭蕉の死を看取ってさすがの安野も心変わりした模様。

で、四十七士が血判状に署名する頃になって、
やっとカイにこれまでの非礼を詫びて、
「侍なら刀を2本腰に差せ」と脇差しをカイに手渡したと。
カイをサムライと認めるまで、これだけ時間がかかっているんですねー。

 

脚本のクリス・モーガン(あるいはホセイン・アミニ)も、
わざとこういういけ好かないサムライを四十七士に入れたのでしょう。
物語後半の安野とカイとの和解をドラマティックにするために、
あえて前半から中盤まで安野のヘタレな姿を延々描き続けたのだと思います。
自分も初見時は「どうしようもないなコイツ」としか安野を観られませんでしたが、
2度目の鑑賞時には笑って観られました。

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安野には本来御前試合で対峙する相手だった巨人兵士と、
吉良城の討ち入りでタイマンバトルをやってもらいたかったところです。
最後にいいところを見せてやりたかったな、と。
実際は巨人兵士を爆弾(?)で四散させちゃいましたからね…。
「片腕兼足手まとい」の印象をイマイチ拭えなかったのが悔やまれます。

 

しかしまぁ別な見方をすれば、
安野がこういう嫌味な役回りを一手に引き受けたからこそ、
大石主税(赤西仁)が「突出しがちな若造」キャラではなく、
「実直な好青年」キャラで活躍出来たのかもしれません。
何だかんだで『47RONIN』はキャラクターがよく描けていますね。
これからこの映画をご覧になる方は、ぜひ安野の活躍にもご注目下さい。

 

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