『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』(以下ポケ戦)。クリスマスシーズンのブログ用に寝かせておいたネタだったのに、まさかその間にかしぶち哲郎氏の訃報を聞く事になるとは…。
自分はムーンライダーズのヘビーリスナーではなかったのですが、かしぶち氏の名前は子供の頃から知っていました。
なぜならポケ戦のOVAを観ていたから。
かしぶち氏はこのシリーズの音楽(オリジナル・スコア)を担当されていました。
機動戦士ガンダム 0080 「ポケットの中の戦争」 Sound Sketch 1 – amazon
機動戦士ガンダム 0080 「ポケットの中の戦争」 Sound Sketch 2 – amazon
『ポケ戦』はOVA発売当時も全話観た後大泣きしたし、ティーンエイジャーの頃もやっぱり泣いてしまったし、大人になった今でも、アニマックスとかで観ると目頭が熱くなってしまいます。
バーニィのビデオメッセージはいつ見てもダメですね…。泣いてしまって。
高山文彦監督の実写映画テイストの演出のせいか、「人の死」がリアルに伝わってくる。流血描写も多いし、MSが撃墜された時、カットインの演出がなくてもパイロットも命を落としている事を痛感させられるのです。これを観た後では「ザク弱ぇ!」とか「ジムはザコ」なんて軽々しく言えなくなります。
ガンダムシリーズは基本的にどの作品もオーケストラを使っていますが、ポケ戦はシンセサイザー主体のスコアと思われます。なので、他のガンダムシリーズ(Zとか0083)の音楽と聞き比べてみると、いささか音が軽い印象は否めません(ポケ戦に限らず、80年代後半のOVA作品はこういう音楽が多かった気がしますが)。シリアスで重い話なのに、妙に明るい曲調のスコアがあったり。
学生時代は「ちょっとチープな音だなぁ」と思っていましたが、大人になってからは「これはこれでアリではないか」と思えるようになりました。
まぁ単に80年代が懐かしくなっただけかもしれませんが、戦争の意味も、人が死ぬ事の意味も実感出来ず、モビルスーツを見たり薬莢を拾って無邪気に「カッコイイ」とはしゃいでいた、「子供の視点から見た戦争」をイメージした音楽という事であれば、軽い音楽でもそれはそれで意味があるのではないかと。音楽の軽さは、少年の無邪気さの表れではないかとも思ったりもするわけです。
それでもMS戦のシーンで流れた「架空の空」の後半パートは、当時子供心に「カッコイイな」と思いましたし、今となってはノスタルジーすら感じさせるポップス調の「虹を追って」や、室内楽のような「食卓におけるカノン」のメロディーはたぶん一生忘れる事はないだろうし、何だかんだ言ってケンプファーが連邦軍のスカーレット隊を蹴散らす場面の音楽は、子供心に胸が高鳴ったわけです。それこそ劇中のアルやチェイのように。
ガンダムシリーズの音楽としてはかなり異色の部類に入りますが、これはこれで愛すべきスコアなのではないかなと思います。
そういえば、サウンドスケッチ1の差込解説書に、実に的を射た『ポケ戦』の紹介文が書いてありました。
この世界ではガンダムもザクも悲しい。
第一話と最終話とではっきりとその違いを見せる少年の表情。
明快でありながら同時にテーマの持つ深刻さをも訴える画面。
「ポケットの中の戦争」は良心作である。
この「明快でありながらテーマの持つ深刻さをも訴える」というくだりこそが、かしぶち氏が本作のために書き下ろした音楽のテーマだったのかもしれません。
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