『LEGO(R) ムービー』(14)は見どころが多すぎて、
面白ポイントをひとつひとつ挙げていったらキリがないのですが、
自分としてはこの場を借りて是非音楽について書かせて頂きたい。
『LEGO ムービー』は音楽も最高です!!
オリジナル・スコアを手掛けたのはマーク・マザーズボウ。
懐かしのテクノポップ・バンド DEVO(ディーヴォ)のオリジナル・メンバーのひとりです。
『LEGO ムービー』のフィル・ロード&クリストファー・ミラー監督とは、
『くもりときどきミートボール』シリーズ(09,13)でも組んでいるし、
マザーズボウ自身も90年代前半からコンスタントに映画音楽を手掛けているし、
ウェス・アンダーソン監督の初期作品でコアなサントラ・ファンから既に注目されていたわけですが、
今回の『LEGO ムービー』は、
彼のフィルモグラフィで最もDEVO色の強い傑作スコアに仕上がっているのではないかなと思います。
オーケストラやコーラス隊をフルに活用しつつ、
DEVO仕込みのポップでキッチュな電子音を全編に散りばめた、
80年代テクノポップ風の軽快なサウンド。
オケとコーラスをふんだんに使っておきながら、
こんなに(いい意味で)スカスカした感じのスコアを書き上げてしまうというのは、
ある意味スゴイ才能です。
マザーズボウが音楽を担当する作品はコメディが圧倒的に多く、
また既製曲を大量に使用するタイプのものが多いので、
せっかくの彼のスコアも1曲あたりの演奏時間が短いのが玉にキズでした。
まぁ今回も1曲あたりの演奏時間は決して長いとは言えないし、
ものすごくガチャガチャした映像のせわしない映画ではありますが、
『LEGO ムービー』ではしっかりしたメインテーマを聴かせてくれます。
せわしない内容でも観客の耳に残る旋律の聴かせ方とでも申しましょうか。
話のテンポが速くても耳馴染みがいいメロディーを作っているので、
サントラ盤を何度か聴くと「ああ、これがメインテーマか」とすぐ分かる音楽になってます。
これまでマザーズボウのスコアでは、
『ウェルカム・トゥ・コリンウッド』(02)と『ライフ・アクアティック』(04)が傑作かなーと思っていましたが、
ここに来て『LEGO ムービー』が自分の中でトップに躍り出ました。
DEVO好き、テクノポップ好きは間違いなく「買い」のサントラ盤ですね。
歌モノのEverything is Awesome!!!やUntitled Self Portraitも、
プロデュースはマザーズボウなのでサウンドの統一性は保たれてます。
まぁよく考えてみたら、
DEVOの面々がライヴで被っていた赤いエナジードームも、
見ようによってはレゴブロックみたいにも見えるわけで、
マザーズボウが本作の音楽を手掛けるのも運命だったのかもしれませんね。
よく本編にDEVOのレゴ人形が出て来なかったなーと思った次第。
余談ですが、
エンドクレジットで「♪えぇぶりしんぐいずおぅさぁぁぁむ」と
Everything is Awesomeの泥臭い感じのアコースティック・バージョンが流れた時、
「アコースティックバージョンwwww」と失笑していたお子様連れのママさん。
大変よいセンスをお持ちでいらっしゃると思います(笑)。
ウィル・アーネットが野太い声で熱唱するUntitled Self Portraitが流れた時も、
「これバットマンのwwww」とお友達のママさんと大笑いしてたかなー。
知り合いでも何でもない赤の他人の方ではありましたが、
同じ笑いを共有出来るお客さんと一緒にこの映画が観られてよかったなーと思いました。