80年代~90年代の映画の完全版サントラを、
枚数限定で定期的にリリースしているLa-La Land Records。
今月は『ピースメーカー』(97)の2枚組完全版サウンドトラックでした。
この映画、確かドリームワークスの旗揚げ第一弾作品だったでしょうか。
(同時期に『マウス・ハント』(97)も公開になった記憶があるけど)
当時はジョージ・クルーニーも『ER』を卒業したてで、
映画界でのキャリアを固めるべく、
『フロム・ダスク・ティル・ドーン』(96)や『素晴らしき日』(96)、
悪名高い『バットマン&ロビン/Mr.フリーズの逆襲』(97)などなど、
ビミョーな映画に片っ端から出まくっていた時期。
1998年の『アウト・オブ・サイト』で現在の「ヤサ男キャラ」を確立して、
やっとブレイクしたのでした。
正直この映画もアクション映画としてはビミョーな出来で、
監督が『ER』などTV界出身のミミ・レダーだったせいか、
どうにも「派手なことをやってるけどイマイチ盛り上がらない」感じで、
何だか不完全燃焼な印象がありました。
けれども、しかし、だが、BUT。
ハンス・ジマーの音楽は激アツなのであります!!!!!!
時期的には『ブロークン・アロー』(96)や『ザ・ロック』(96)、
『クリムゾン・タイド』(95)などアクション・スコアの名作を連発していた頃。
特に『クリムゾン・タイド』の音楽が絶賛されていたので、
『ピースメーカー』のスコアも『クリムゾン・タイド』の再演的な色合いがありますね。
「オケ+シンセ+男声コーラス」という編成とか。
哀愁のメロディーをじっくりと聞かせてから、
溜めて溜めて溜めて溜めて見せ場でドーーーン!と盛り上がる構成も、
この時期の(まだ若かった)ジマーならでは。
もう17年前の作品になりますが、
いま聴いても全く色褪せない輝きを放っております。
1997年にリリースされたサントラ盤(通常盤)は、
映画で使われたスコアやジマーさんのサウンドスケッチを、
アルバム用に編曲し直して収録したものが全5曲でした。
この時期のジマーさんのサントラは、
1トラックのプレイタイムが17分強とかよくありましたね。。
当時はまだiPodとかない時代ですから、
長尺のトラックを途中で中断すると続きの再生がなかなか面倒でありました。
で、今回の完全盤はどうなっているかというと、
Disc1は映画で使われた形のスコアが全15曲収録の74分、
Disc2はDisc1に入りきらなかったスコアが3曲と、
1997年の通常版の音源5曲(リマスター済)、
Get Me Authorizedの別アレンジバージョンと、
ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ作曲の予告編音楽1曲収録の全10曲78分。
盛りだくさんです。これは”買い”ですぜ。
ブックレットに載っていたジマーさんの2013年のインタビューの言葉がまたいいんです。
ジマーさんのコメントをかいつまんで大雑把に訳すと、
「自分の音楽をロックンロールと切り離して考えるのは難しい」
「『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズも『シャーロック・ホームズ』も『バットマン』も全てロックンロール・スコアなんだ」
…と語っておりまして、いや実に頼もしいお言葉と思いました。
これなら『アメイジング・スパイダーマン2』(14)の曲作りで、
「バンドやろうぜ!」的なノリでThe Magnificent Sixを結成したのも納得です。
こういった今日にも通じるジマーさんのスタイルを知るという意味でも、
いま改めて聴いておきたいサントラですね。