さてハリウッド版『オールド・ボーイ』(13)についての最初の投稿で、
「本国での評価がイマイチだった」ということを書かせて頂きましたが、
ワタクシ、何でアメリカ国内で評価が低かったのかいろいろ考えました。
そりゃ確かに韓国版は評価が高かったし、
タランティーノが絶賛してカンヌでグランプリを獲った作品ですから、
リメイクにあたってハードルがぐーんと上がってしまった感は否めません。
しかし韓国版とハリウッド版を両方観て、
韓国版『オールド・ボーイ』(03)に偏った愛着があるわけでもなく、
だからといってスパイク・リー作品に強い思い入れがあるわけでもない自分が観ても、
今回のリメイク版は水準以上のクオリティだったように思うのです。
低評価の原因を考えてみたところ、
多分スパイク・リーはイーストウッドにケンカを売って以来、
業界で干され気味なのではないかという結論に至りました。
最近のスパイク・リーはTV映画とドキュメンタリー映画がメインで、
『セントアンナの奇跡』(08)以降、
劇場映画は2012年の『Red Hook Summer』ぐらいしか撮っていないし…。
イーストウッドとのケンカというのはアレです。
『父親たちの星条旗』(06)と『硫黄島からの手紙』(06)に、
「黒人俳優が出ていない(黒人兵を描いてない)!差別だ!」
…とイチャモンをつけてイーストウッド御大とモメた後、
スピルバーグが仲裁して和解したという事件。
『ジャッキー・ブラウン』(97)の頃のタランティーノ相手ならともかく、
イーストウッドにケンカを売ったのは今更ながらマズかった気がしますね…。
『スリー・キングス』(99)でジョージ・クルーニーと大喧嘩して、
業界から長らく干されていたデヴィッド・O・ラッセル監督と同じ。
監督が映画関係者から煙たがられた結果、作品が正当な評価を得られなくなったパターンではないかと。
そういう意味では、作品それ自体の評価とは違う場所でケチがついてしまったわけで、
ハリウッド版『オールド・ボーイ』は不遇な作品と言えるでしょう。
でもリメイク企画が挙がった初期の頃のプラン通り、
「スピルバーグ監督とウィル・スミス主演でリメイク」だったら、
恐らくスピルバーグは監督しないで製作か製作総指揮に回って、
D.J.カルーソあたりの「無難に撮ってくれそうな監督」がメガホンを取ることになり、
プロデューサーに名を連ねたスミスが脚本に口出しして、
それこそ凡庸な…というかヒドいリメイク映画になっていたんじゃないかと思うのです。
だから性格とか言動の好き嫌いこそあれ、
演出の腕は確かなスパイク・リーが監督を手掛けてよかったと思うし、
何より演技派俳優のジョシュ・ブローリンがオ・デス役に起用されて本当によかった。
今回のリメイク版で韓国版の主人公オ・デスにあたる男ジョーを演じるブローリンは、
10日で13キロ増量、2日半で10キロ減量という凄まじい肉体改造を行って、
メタボ腹のアル中男が復讐の鬼と化す姿をキョーレツに体現しているのですよ!
ブローリン曰く、
「体重の増減のために映画の撮影を中断させたくなかったから」という理由で、
前述のような短期間でのハード極まりない肉体改造を行ったのだとか。
すごいよブローリン!
主演俳優がここまでやっているわけですから、
これはテキトーに作ったリメイク映画なんかじゃありません!
ブローリンの鬼気迫る肉体改造&監禁中の狂気のひとり芝居だけでなく、
エリザベス・オルセンのあられもない姿とか、
シャールト・コプリーの気持ち悪い怪演とか、
サミュエル・L・ジャクソンのヘンな髪型も必見だ!!
なお、監禁部屋に貼ってある満面の笑みを浮かべたベルホップのポスターですが、
あれはスパイク・リーの弟サンキ・リーだそうです。
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