高橋幸宏 Especial Live HEART OF HURT 2014に行ってきたよの巻

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今回の東京公演のライブ会場、
キリスト品川教会 グローリア・チャペル

運良くチケットの抽選に当たったので、
幸宏さんのスペシャルなライブ「Heart of Hurt 2014」に行ってきました。

“Heart of Hurt”といえば、
1993年リリースの激シブ・アコースティック・セルフカヴァー・アルバムと同タイトル。
「それじゃあ今回は佐橋佳幸氏と堀江博久氏の3人でアコースティックなライブを演るのかな?」
…と思ってしまうわけですが、いろいろと予想外の展開が待っていて、
うーん、なかなか楽しいライブだったなぁ、と仙台に戻ってからひとりニンマリとしてしまうのでした。

幸宏さんはツイッターで「ゆるーい感じでやります」と念を押していたし、
堀江さんは冊子に「なんだかいつもと違う感じ」
「何が起きるのか楽しみで仕方がない」とコメントを寄稿していたのですが、
実際そんな感じのライブになってましたね…。

Heart of Hurtと言っても、
ガチガチにアコースティックなアレンジというわけはなく、
エレキギターをロックな感じに鳴らしたりもするし、
キーボードで電子音も出すし、
そして「ライブの第4のメンバー」「影の主役」と囁かれた「リン様」「リンさん」ことリンドラムが大活躍。
「ステージ上でをリズムをプログラミングする」というなかなかスリリングな試みが行われました。
さながら『高橋幸宏 音楽の学校/第1回:リンドラムを使いこなそう』といった趣。
当然、ボタンひとつでサクッとリズムが決まるような便利な代物ではないので、
「リズムが整うまで佐橋さんと堀江さんのトークで繋ぐ」という、
これまたゆるーい時間が流れていったのでした。
いくら”巻き”の指示が出ないとはいえ、最初はご本人も緊張されてたんじゃないかな…?

最後までこんな感じの進行だったので、
演奏中のハプニングなどもあったりもしたわけですが、
当のご本人もお客さんも「別にいいよね、これぐらい」という空気で、
全く問題なくゆるやかなムードでライブは進んでいったのでありました。
こんな光景は滅多に見られるものではないので、これはこれでアリではないかと。

そういえばワタクシの母はもう何十年も前の幸宏さんのライブで、
360度回転するドラムのセットが後ろ向きのまま止まってしまった公演を見たことがあるそうで、
「あの時の幸宏さん、顔は笑ってたけどピリピリしてたんじゃないかしらー」などと以前言っていましたが、
今だったらそういうことがあっても、
「えー、皆さん楽しんで頂けたでしょうか?」と、笑い飛ばして下さるのではないかと思ったりもしました。

あと、今回のライブは選曲も面白かったですね。
「あのアルバムからこの曲を選びますか!?」
「あの曲がこういうアレンジになるんですか!?」…と、
なかなか意表を突いた感じの通好みな楽曲が並ぶセットリストだった気がします。マニア感涙。
京都・神戸公演を見に行く方の楽しみを損なっても何ですので、
あえてセトリは書かないでおきますがただ一点だけ。
The Look of Loveのカヴァーを演奏してくれたのは個人的にすごく嬉しかったです。
何しろ弊社のエリオットさんもアルバム「Master Plan」でカヴァーしてるバカラックの名曲ですから。
この曲はシンプルなアレンジで演奏するのが一番ですね。

アルバム収録バージョンとは違った感じのアレンジで演奏してみたり、
原曲と違う感じにちょっと崩して歌ってみたりする幸宏さんの姿に、
一瞬ボブ・ディランの姿がダブって見えた気も致しました。
通常のバンド編成のライブよりも音数が少ない分、
誰がどの音を鳴らしているのか(どのパートが誰の演奏なのか)がよく分かって、
ワタクシ的にはこれがすごく面白かった。

リンドラムの実演、
ほぼ即興的に場を保たせたゆるーいトーク、
演奏中のちょっとしたハプニングなどなど、
ライブの醍醐味である、その場限りの「ナマモノ」的な楽しさがギッシリ詰まった公演でした。

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パンフレット…というか冊子。
予算の都合でモノクロ印刷になったのだとか。
イメージ的には結婚式の招待状とのこと。

Heart of Hurtと聞いた時には、
もっとしみじみ切なくなるライブになるのかなーと考えていたのですが、
仙台に帰って冊子を眺めながら余韻に浸っていると、
意外性とユーモア、
暖かさと優しさに溢れた、
それでいてちょっとだけ切なさを感じさせてくれる、
「心に訊く音楽、心に効く音楽」のライブだったように思います。
うちの母親も連れて行きたかったな…。

余談ですが、冊子にさりげなく書かれた
「演奏曲目・曲順は予告無く発作的に変更となる場合があります」
…という注意書きが妙にツボでした(発作的にって…笑)。

 

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