『フライト・ゲーム』はジョン・オットマンのスタイリッシュなスコアが聴き応えあり。

nonstop

というわけで、今回は映画『フライト・ゲーム』(14)の音楽の話。
オリジナル・スコアの作曲はジョン・オットマン。
本作のジャウマ・コレット=セラ監督とは今回が4回目の顔合わせ。
『蝋人形の館』(05)、『エスター』(09)、『アンノウン』(11)、そして本作で4回。
前作『アンノウン』もリーアム・ニーソンが主演だったから、バンドの再結成みたいな趣がありますね。

ジョン・オットマンは多作で売れっ子の作曲家だと思うし、『X-MEN:フューチャー&パスト』(14)や『ワルキューレ』(08)のような大作も手掛けているのに、何だかサントラ・ファンからの評価が不当に低い気がします。
何でかなと常々思っていたのですが、恐らくオットマンがちょっとクセのある音楽を書くせいかもしれません。

どこをどう「クセがある」と表現するべきか難しいところですが、例えば聞き手側はもっと「燃えるメロディーを聴きたいな」と思っているところを、急にスコアをガラッと転調させたり、耳障りな不協和音とかトーンクラスター的な音を鳴らしたりするスタイルが、いまひとつ一般受けしないのかな、と思ったり。

でも今回の『フライト・ゲーム』のオットマンのスコアはかなり聴きやすいです。
何と言ってもエンドタイトルで流れるメインテーマが実にカッコイイ
(サントラ盤だと1曲目に収録されてます)
生オケと電子音がバランスよくブレンドされているし、メインテーマの旋律も2,3度聴けば覚えられるキャッチーさ。
この映画はメインテーマをスコアの中で繰り返し使う主題操作を行っておりまして、メインテーマを中心とした楽曲構成になっているのが素晴らしい。

ワタクシ以前『アンノウン』のサントラ盤ライナーノーツも書かせて頂きましたし、今回の『フライト・ゲーム』もかなり音楽を聴き込んだのですが、『フライト・ゲーム』の音楽の方がキャッチーな感じですね。
メインテーマのメロディーの輪郭がハッキリしているためだと思うのですが。
同時期の作品でも、自分は『X-MEN:フューチャー&パスト』より、『フライト・ゲーム』の音楽の方が気に入ってます。
物語の舞台(空の密室=旅客機の中)に合わせて、楽曲のアレンジがタイトに纏まっているあたりがいいなと。
リーアム拳が炸裂する後半のアクション・シーンではきちんと派手に鳴らしてくれているので、タイトに纏まっているとは言っても迫力不足というわけではありません。

Track List:
1. Non-Stop (3:12)
2. Damaged Goods (3:42)
3. Usual Suspects (1:19)
4. Welcome to Aqualantic (1:03)
5. First Text (3:15)
6. Random Search (1:40)
7. Do Something For Me (2:42)
8. Circling Passengers (3:11)
9. Interrogations (3:23)
10. What Happened to Amsterdam? (3:45)
11. Death Number 1 (2:07)
12. Reluctant Passenger / Blue Ribbon (2:08)
13. F*** It (3:42)
14. Explosions Protocol (1:55)
15. Ambush (1:39)
16. Message Received (3:20)
17. Bathroom Discovery (1:48)
18. 8000 Feet (2:10)
19. Unloaded Weapon (1:30)
20. Crash Landing (1:26)
21. Epilogue (3:54)

音楽に関する考察はライナーノーツにいろいろ書かせて頂きましたので、是非Rambling Recordsさんから発売中の国内盤を手にとって頂いて、お時間が空いた折にでも目を通して頂ければと思います。
何はともあれ、まずはアルバム1曲目のメインテーマ”Non-Stop”を聴いて頂きたい所存。

 

『フライト・ゲーム』オリジナル・サウンドトラック
音楽:ジョン・オットマン
レーベル:Rambling Records
品番:RBCP-2790
発売日:2014/08/20
価格:2,400円(税抜)

 

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