というわけで今回は『イコライザー』(14)のサントラ盤について。
音楽は『アンストッパブル』(10)、『ザ・タウン』(10)のハリー・グレッグソン=ウィリアムズ。
お名前がちと長いので、以下HGWと書かせて頂きます。
HGWのサントラがプレスCDでリリースされるのは、
『カウボーイ&エイリアン』(11)以来ほぼ3年ぶりになるでしょうか。
『デジャヴ』(06)や『サブウェイ123 激突』(09)、『トータル・リコール』(12)など、
コンスタントに力作スコアを作曲しているにもかかわらず、
最近は配信&米amazonでのCD-Rリリースのみという状態が続いていましたが、
今回は久々のプレスCDでのリリースで嬉しくなっちゃいます。
しかもアントワーン・フークア作品への登板は『リプレイスメント・キラー』(98)以来16年ぶり。
いろいろ久々づくめで感慨深いものがありますね。。
ワタクシHGWの音楽が大好きでして、
『エネミー・オブ・アメリカ』(98)や『スパイ・ゲーム』(01)といったファン必携の作品から、
『フォーン・ブース』(02)や『ナンバー23』(07)のようなマニア向け、
『Smilla’s Sense of Snow』(97)のようなコレクター向けの作品まで、
かなり聞き込んでいる人間だったりします。
今回ランブリング・レコーズさんが『イコライザー』の国内盤を製作されるということで、
せっかくだから何かHGWご本人から話が聞けないかな…と思い、
ダメモトでHGWにインタビューを申し込んだのですが………、
何とありがたいことに、その日のうちにあっさり承諾してもらえました。
いやーーこれは嬉しかった。
彼は『メタルギアソリッド』シリーズの音楽を担当しているだけあって、
日本にいい印象を持っていらっしゃるのでしょうか。
何にせよ感謝感激でございます。
で、いろいろと話を聞かせて頂いたのですが、
HGWという方は質問へのひとつひとつの回答がとても丁寧で、
当方が「まぁ簡単な回答がもらえればいいかな」と思っていたようなことでも、
原稿にして10行ぶんくらいの内容を答えてくれました。
「さすが元音楽教師!」などと思ってしまいましたが、
たぶん根っから几帳面な人なのでしょう。
…というわけで、『イコライザー』の詳細な楽曲解説については、
HGWが詳細に答えてくれたので、
詳しくは国内盤ライナーノーツをご覧頂ければと思います。
ここではサントラ盤の購入を考えていらっしゃる方のために、
大まかな紹介だけさせて頂きますね。
音楽の方向性としては『マイ・ボディガード』(04)や『デジャヴ』とほぼ同じで、
ドラマパートでメインテーマの旋律をピアノで響かせつつ、
アクション・パートでデジタルサウンドを駆使したエッジィな音楽をビシっとキメる感じ。
まぁ本作のデンゼル=ロバート・マッコールは、
法で裁けぬ悪党を19秒で抹消してしまうので、
殺陣のシーンでメインテーマをじっくり聞かせる時間がないという事情もあるのだと思います。
(さすがに後半になってくると19秒では悪党を”処刑”できなくなってきますが)
しかし、この緩急をつけた楽曲構成がめっぽうカッコいいのです。
マッコールの中でスイッチが切り替わる瞬間を捉えたサウンドというのかな。
『スパイ・ゲーム』とか『マイ・ボディガード』の音楽が好きな人なら、
確実に気に入ってもらえるサウンドではないかと。
スコアのレコーディングに参加しているメンバーもほぼいつも通り。
HGWのデジタル・サウンドを支えるテクノ・トランス系グループ”Hybrid”が、
プログラミングと追加音楽を担当。
エレクトリック・ギターは名手ジョージ・ドーリングと、
元ポルノ・フォー・パイロスのピーター・ディステファーノ。
エレクトリック・ヴァイオリンのヒュー・マーシュ、
エレクトリック・チェロのマーティン・ティルマンなど、
いわゆる「リモート・コントロール系」のサントラが好きな人なら、
一度はどこかで見たことのある名前のミュージシャンが名を連ねてます。
これだけのメンツが揃ったら、
そりゃもうキレッキレの音を出してくれるわけで、
『イコライザー』のサントラ盤、必聴でございます!
例によって国内盤はHQCD仕様になっておりますので、
ハリー・グレッグソン=ウィリアムズのコメントも読めるとなったら、
こりゃもう国内盤を買うしかごぜいませんので、
ひとつよろしくお願い致します。
(劇中で使われた歌モノは未収録なので、iTunesなどを駆使して自力でコレクトして下さい)
『イコライザー』オリジナル・サウンドトラック
音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
レーベル:Rambling Records
品番:RBCP-2854
発売日:2014/10/15
価格:2,400円(+税)
2015年1月05日追記:
フークア監督の次回作『Southpaw』の音楽担当がジェームズ・ホーナーになった模様。
Film Music Reporterでもアナウンスされていた、
当初登板予定だったハリーさんの音楽は不採用になったらしい…。
http://filmmusicreporter.com/2014/09/17/harry-gregson-williams-to-score-antoine-fuquas-southpaw/
ハリーさん、「アントワーンとまた次回作で仕事するんだよ!」と言って喜んでたのになぁ…。