新年のごあいさつ&2014年 個人的に印象に残ったサントラ盤7選

jack ryan

新年あけましておめでとうございます。
大晦日は『ゲームセンターCX』を延々見ながら、
HGUC ジェガンJ型を作っていたら年が明けました。
今は『ゲームセンターCX』のクレイジー・クライマーの回を見ています。

さて映画音楽物書きである以上、
何か2014年を総括するようなサントラネタを書こうと思ったのですが、
フツーに「2014年のサントラトップ10」とかやってもツマラナイので、
個人的に印象に残った作品を挙げていきたいなーと思います。

その1:パトリック・ドイル、『エージェント:ライアン』で本格アクション・スコアを披露

時期的に2014年が始まって最初に驚いたのがコレでした。
文芸ドラマと歴史ドラマとUK製ロマンス映画の音楽が専門という印象のあったパトリック・ドイルが、
『エージェント:ライアン』(14)でまさかのアクション・スコアに挑戦したという。
しかもいわゆる「リモート・コントロール系の音」と呼ばれるような、
オーケストラにシンセを巧みに組み合わせたタイプのモダンなアクション・スコア。
いやーこれには驚きました。
「ドイルにアクション映画の作曲依頼をしても全然OK!」ということが分かったので、
ケネス・ブラナーが007の監督をすることになったら、
音楽はドイルでもノー問題(だと思う)。
イギリス/スコットランド出身の監督さんは、
アクション映画の音楽担当にドイルさんを積極的に起用して下さい。
(関連記事:『エージェント:ライアン』サントラ盤のこと -パトリック・ドイル、シンセ・スコアに開眼するの巻-

 

 

その2:タイラー・ベイツ、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の音楽を担当する

guardians of the galaxy
ザック・スナイダーは『マン・オブ・スティール』(13)でハンス・ジマーを起用するに至りましたが、
(理由:プロデューサーがクリストファー・ノーランだから)
ジェームズ・ガンは違いました。
『スリザー』(06)、『スーパー!』(10)に続いて、
アメコミSF超大作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(14)でも、
今までと変わらずタイラー・ベイツを音楽担当に抜擢!
ガンの決定に男気を感じましたね…。
まぁこの映画の音楽というと9割がた”Awesome Mix”の懐メロに話題を持って行かれますが、
お願いですからベイツさんのオリジナル・スコアも聴いて下さい…ッ!
フルオケでアツい音楽を鳴らしてくれてますよ!
(関連記事:タイラー・ベイツのスコアも聴いて下さい! 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のサウンドトラック

 

 

その3:マイケル・ダナ、『トランセンデンス』でSFスリラー音楽に挑戦する

transcendence
映画はコケたそうですが、
マイケル・ダナの音楽はなかなかよかったなぁ、と思うのです。
まぁ彼は弊社契約アーティストでもありますし、
ワタクシ『スウィート ヒアアフター』(97)以来のマイケルさんのファンでもありますので、
かなり個人的な贔屓も入っておりますが…。
基本的にSFスリラー調のサウンドを聞かせつつ、
「パートナーを愛する余り、倫理や自然の摂理を逸脱した行動に出てしまう女と男の哀しみ」
…という映画のテーマをきちんと描いた音楽に仕上がっていると思います。
ダウンロード形式でしかリリースされなかったのは、
やはり映画がコケたせいだろうか…。
(関連記事:マイケル・ダナ名作選/『トランセンデンス』(2014)

 

 

その4:スティーヴン・プライス、『フューリー』でまたしても深遠な音楽世界を披露

fury
先日ブログに投稿したばかりですが、
とにかく『フューリー』(14)の音楽は素晴らしかった。
「音数が多い音楽なのに、ムダな音がひとつもない」
ことさら音楽が雄弁…というわけでもないのですが、
それでいて「言葉で説明されなくても、登場人物の心理状態や感情・思考が何となく読み取れる」
…というようなサウンドになっておりまして、
まぁとにかくよく出来ているわけなのであります。
余談ですがエドガー・ライトが『アントマン』(15)の監督を降板しなかったら、
音楽はスティーヴン・プライスが担当することになったのでしょうかね…。
(関連記事:【朗報】『ゼロ・グラビティ』の作曲家スティーヴン・プライス、『フューリー』でまたしても傑作スコアを世に送り出す

 

 

その5:マーク・マザーズボウ、『LEGOムービー』でDEVOスピリッツを炸裂させる

lego_movie
「担当作品は主にコメディー」
「それゆえ1曲あたりのプレイタイムが短い曲が多い」
「基本的にスコア盤はダウンロード販売のみのことが多い」
「CDでサントラが出てもスコアが1曲しか収録されない」

…などなど、映画音楽の分野では何だか不遇なDEVOのマーク・マザーズボウですが、
『LEGOムービー』は実に彼らしさが発揮されたサントラだったなーと思います。
軽快なオーケストラにポップでキッチュなテクノポップ音を融合させたスコアが楽しすぎ。
マザーズボウの本領発揮といった感じで、
彼の代表作と呼ぶにふさわしいサントラになったのではないかと思います。
これは日本盤を出してほしかったなぁ。
ついでに言えばライナーノーツを書く機会を頂きたかった…。
(関連記事:DEVOスピリッツ炸裂! 『LEGO(R) ムービー』のマーク・マザーズボウの音楽がポップで最高!

 

 

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その6:ハンス・ジマー、『ラッシュ/プライドと友情』でロックなオリジナル・スコアを作曲

おととし『デイズ・オブ・サンダー』(90)のスコア完全盤がリリースされましたが、
“今の”ジマーさんがあの映画の流れをくむロックな音楽を披露してくれるとは!と感動した作品でした。
日頃お世話になっているボブさんが音楽コンサルを担当していて、
お友達のBJがギター&追加音楽で参加していることもあり、
個人的に結構思い入れのあるサントラです。
日本盤にライナーノーツを書きたかったなぁ…。

 

 

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その7:ランブリング・レコーズさん入魂の企画「サウンドトラック傑作選50」始動!

確か『フライト・ゲーム』(14)のマスコミ試写の時に、
ランブリングさんから「これこれこういう企画がありまして…」という話を聞いたのですが、
まさか一挙に50タイトルもリリースするとは思いませんでした。
しかも以前リリースした音源をそのまま低価格で出すのではなくて、
DSDリマスタリングを施して、高音質なものを低価格でリリースするという素晴らしさ。
ちなみにワタクシも12タイトルほどライナーノーツを担当しております。
ランブリングさんとはもう10年以上お仕事させて頂いておりますが、
日本で最もサントラ愛があって、
なおかつサントラに真摯に向き合っているレーベルだと思います。
(関連記事:【朗報】Rambling Recordsから傑作サントラ盤50タイトルがDSDリマスタリングで再発売!

 

ノープランで挙げてみたらこんな感じになりました。
本来ならキリよく10選にしたかったのですが、
『ゴーン・ガール』(14)サントラ盤の発売日が1/9に延期になったり、
書こうと思ったネタが今年(2015年)日本公開の映画だったりしたので、
中途半端な7選という結果になってしまいました。

自分がサントラ盤にライナーノーツを書かせて頂いた作品はどれも楽しかったし、
思い出深い作品でもありますし、
個人的な映画音楽体験でいえば、
ダニー・エルフマンご本人と対面する機会もあったし、
いろんな映画音楽家の方に取材する機会も持てたし、
お友達のBJが『バッド・ガンズ』(12)や『ドライブ・ハード』(14)など、
B級ながらも映画音楽を手掛けるようになったり、
いろいろと楽しい・嬉しいことがあった1年でございました。

2014年は映画音楽関連の仕事が多めな年でしたが、
やっぱりサントラって面白いわーと再認識した1年でした。
今年はそのへんを意識しつつ、
より突っ込んだ仕事をしていきたいなーと思います。

 

 

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